加賀氏は問題発覚の直後、三菱電機の経営企画担当役員に就いた。「ものづくりの現場は安全第一で、品質や納期も大事。規律がなければ工場の運営はままならない。とはいえ、『指示系統に従う』風土が強すぎた」と当時を振り返る。 未曽有の品質問題を受け、三菱電機は社長直下のプロジェクトを立ち上げて上意下達の組織風土を抜本的に見直し、上司にも率直に意見することができる文化をつくり上げてきている。近年の改革では民間企業による「心理的安全性AWARD」も受賞するなど、他社の注目を集めている。 三菱電機は品質不正を受けて組織の欠陥を見つめ直し、組織風土の改善につなげた。こうした失敗の経験を生かそうという空気は、日本にどれほどあるだろうか。 判で押した自動車不正 「同じ失敗は繰り返すな」「人のふり見て我がふり直せ」──。多くの人が子どもの頃から言い聞かされた教えが、経営には生かされていない。名だたる企業が、過去と変