原発事故に伴う輸入規制の影響でホヤの養殖に深刻な影響が出ている渡辺さん。処理水海洋放出は「死活問題」だと訴える=宮城県石巻市の寄磯浜 宮城県石巻市の寄磯浜。宮城県の養殖業の主力であるホヤを生産する渡辺喜広さん(61)は寒風が吹く夕暮れに海を見つめていた。約120キロ離れた東京電力福島第1原発では来年春にも放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出が計画されている。「ただでさえ廃業の危機にある。こんな状況で処理水を海に流されて国内消費も落ち込めば死活問題になる」 1カ月半ほど前、国の担当者らが処理水に関する対応状況の説明で来県した。だが、渡辺さんが加盟する宮城県漁協ホヤ生産者部会は対面を拒否した。背景には政府側が漁業者の合意を得ぬまま放出方針を決めたことへの不信感がある。 処理水処分を巡っては、福島第1原発の立地自治体が東電による放出設備着工を8月に了解し、作業が刻々と進んでいる。渡辺さんは