その女性は、ことし1月のある日の夜、タイの首都バンコクのある通りに立っていました。この通りはセックスワーカーたちが昼間から立ち、客と価格交渉をする場所として知られています。 肩までの髪を茶色く染め、腕を組んでたたずむ彼女は、どこか落ち着かない表情でした。 話しかけると、新型コロナの影響で仕事を失い、3週間前にセックスワーカーになったばかりだと話しました。その理由を知りたいと思い、後日、自宅で話を聞かせてもらいました。 彼女の名前はウンさん(仮名)、30歳。バンコク郊外のワンルームのアパートで暮らしていました。部屋の床には、チョコレートや文房具、それにおもちゃなどの入った段ボールが置かれていました。 「息子に毎週のように送っているんです」 ウンさんはタイ東北部で育ち、9歳になる息子を持つシングルマザー。息子を親元に残してバンコクで働き、毎月、実家に仕送りをしているといいます。
![WEB特集 家族のため、私は体を売った | 国際特集 | NHKニュース](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8e76347f7e18be368ef2b4a7fe100be0a3c428bc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww3.nhk.or.jp%2Fnews%2Fhtml%2F20210331%2FK10012944571_2103301629_2103311101_01_02.jpg)