今夏の広範囲におよぶ干ばつでは、気候変動が「気候変動との戦い」をこれまで以上に難しくしていることが明らかになった。このことを少し考えてみてほしい。まるで「もしも」の話を地でいくかのようだ。 まず中国について考えてみよう。70日間にわたる熱波で長江の一部は1865年以来最も低い水位にまで落ち込んだ。四川省の電力の80%を生み出す水力発電の稼働率はわずか20%にとどまった。トヨタ、Foxconn(フォクスコン)、Tesla(テスラ)などのメーカーは生産の一時停止を余儀なくされた。電力供給制限は電気自動車(EV)用電池に必要なリチウムの生産減につながり、EV100万台と公共充電設備40万カ所が電気を求めて奔走することになった。 欧州も中国同様に過去500年で最悪の干ばつに見舞われた。8月には、フランスでロワール川の水位低下と高温により原子炉の冷却ができなくなり、同国の原子炉の約半分が停止した。通