瀬戸内海に浮かぶ周囲1・6キロの島。岡山県の黒島のことを。 「島民が、たった1人になりそうだ」と聞いて訪ねたのは、朝日新聞岡山総局の記者だった時だ。それから7年。「人口減」をテーマにした取材チームに加わった。 下調べに、島を管轄する瀬戸内市役所に電話をかけた。黒島に1人で残っていた方は、まだ住んでいますか。 「この秋に本州側に引っ越したようです。いまは無人になりましたよ」 黒島はどのような姿になったのだろう。2012年1月7日付の記事に、こう記している。「人の気配を失って、原始の姿に戻る島」。それが、さらに進行しているのだろうか。 ◇ 黒島は本州からわずか1・5キロ。すぐそこ、に見える。小舟をチャーターして5分。島におりたつと、木の桟橋がきしんだ。 硬くなった甘夏が転がっていた。歯形がある。野生動物のものだろう。 浜辺に小型船が放置されていた。かつて、ほかの3台と一緒に波止場に並んでいた船
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