台湾の頼清徳新総統の就任式が5月20日行われた。蔡英文政権路線の継承をうたっていた頼清徳総統だが、その就任演説は予想を上回る頼清徳節を打ち出し、台湾が頼清徳新時代に入ったことを鮮烈に印象付けるものだった。 だが、それだけに中国の怒りも相当なもので、「必須懲戒」(必ず懲罰する)と息巻き、23日にはすでに「懲罰的軍事演習」を開始している。就任演説を読み解きながら頼清徳新時代の台湾の行方と中国の今後の出方を考えてみたい。 (福島 香織:ジャーナリスト) 頼清徳は選挙戦では蔡英文政権の現状維持路線を継承することを強調していた。2017年9月、行政院長(首相)の立場で、「私は実務的な台湾独立工作者だ」と述べており、台湾を独立した主権国家として国際的に承認を求めたいという本音を秘めていることは周知の事実だ。 ただ、バイデン米政権は台湾の独立不支持、「一つの中国原則」に対する支持を繰り返し公言し、頼清徳