コンクリートを出力材料とする3Dプリンタの開発が着々と進められている。2018年に始まった3Dプリンタによる国内の施工件数は加速度的に増加しており、累計で130件を超えた。コンクリート3Dプリンタ開発の現状や本格的な展開に当たっての課題、3Dプリンタ活用の将来像などについて、コンクリート工学が専門で3Dプリンティング技術の研究にも取り組む東京大学大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 教授の石田哲也氏に話を聞いた(聞き手:筆者)。 巨大なダムの強度や劣化はミクロスケールの状態とリンクしている ――まず先生のご専門についてお聞かせください。 石田氏 ダムや橋梁などのようなコンクリート構造物のシミュレーション技術を研究している。コンクリートは材料の種類や比率、作り方などによってかなり耐久性が変わる。また圧縮に強いコンクリートと引っ張りに強い補強材(主として鉄筋、最近は炭素繊維やアラミド繊維も)が互