「遺族をそっとしてあげてほしい」「実名で犠牲者を報道する必要はない」。36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件では、犠牲者の実名を報じたマスメディアへの抗議が相次いだ。そうした批判を報道機関はどう受け止め、なにを考えたのか。現場を振り返る。(京都新聞) 【写真】圧倒的画力 犠牲になったクリエーターが小学生の頃、祖父母に贈ったイラスト 今年7月18日。「けいおん!」や「涼宮ハルヒの憂鬱」などで知られるアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)の第1スタジオ(京都市)で、社員36人が死亡、33人が重軽傷を負った放火殺人事件が発生。京都府警捜査1課が最初に会見したのは、発生翌日。この日、被害者名を府警は発表しなかった。 爆発的な火災により遺体の損傷は激しく、病院の救急救命室ではぎりぎりの治療が続き、60人以上 の被害者に来客が含まれているかどうかも未確定な段階だった 。1課長会見の時点