騙されない自分 7月に、「ホモデウス」で有名なイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリと、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンの対談[1]がありました。テーマは「ハックするか、ハックされるか -- 民主主義、仕事、アイデンティティの未来」というもので、情報技術に対するハラリの危機感と、タンの楽観論が対照的でした。 ハラリは、「自分自身より、機械のほうが自分のことをよく知っている」世の中に強い危機感を抱いてています。「自分にある特定の行動を起こさせるには、どのボタンを押せばよいか、機械はよく知っているのだ」と。 情報技術が発達する以前から、詐欺師が人々を騙して不要な品物を買わせたり、新興宗教が人々を高揚させる儀式を通して勧誘したり、あるいはまた、戦時中の大本営発表のように偏った情報を流すことによって人々の意見を誘導したりすることは繰り返し行われてきました。これらはいずれも、私たちの心の中