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東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数この記事の写真をすべて見る ※写真はイメージ(gettyimages) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 西田亮介氏の新刊『コロナ危機の社会学』(朝日新聞出版)を読んだ。この数カ月の日本政府のコロナ対策を、各種資料をもとに整理し検証した時宜を得た出版だ。 著者の問題意識は「感染したのはウイルスか、不安か」という副題に明確に示されている。WHOが「インフォデミック」と名づけたように
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◆ ◆ ◆ インテリが話す言葉を聞いても感心しない ――東さんは、少数のエリートと大多数をわけるのではなく、中間層のサラリーマン出身のような人たちのことを考えなければならないとずっとおっしゃっています。それは東さんご自身の出自とも関係しているんでしょうか。 東 それは大きく関係しています。ぼくは父親も母親も別に大学人ではないし、親戚にもいわゆる知識人はいません。戦後社会の中から出てきたごく普通の職業人ばかりです。左翼もいなかったので学生運動とも縁がなかった。一般的なサラリーマンの家で育ちました。 ――出自と思想は、どこまで関係していると思いますか? 東 ひとによると思いますが、ぼくの場合、出自が関係しているのは、知識や思想というよりも身体的な感覚ではないかと思います。たとえばぼくは「話がわかりやすい」とよく言われますが、その理由はそもそもまわりに学者がいなかったことにある。ぼく自身、インテ
批評誌「ゲンロン」の編集長として知られる、批評家で作家の東浩紀氏が9日、ツイッターを更新し、「友人」という国際政治学者の三浦瑠麗氏について持論を連投した。 瑠麗氏の夫でコンサルタント会社代表の三浦清志容疑者は7日、業務上横領の疑いで逮捕され、騒動の渦中にある。 東氏はまず「彼女は僕の友人であり、ゲンロンに何度も登壇してくれた方でもあります」と切り出した。夫の清志容疑者とも「何度かお話ししたことがあります。オフィスには何度か行ったことがあり、ご自宅にもお邪魔したことがあります」という。 そのうえで「夫婦の片方が片方の業務について全く不知というのは難しい主張だと感じます。それは即座に法的責任を意味するものではありませんが、ただ、瑠麗さんについては、今までの発言や立場との一貫性を考えると、一般聴衆に向けて何らかの説明をするべきかと感じます」と、釈明するように求めた。 さらに続けて「瑠麗さんはゲン
【6/15 20時半追記:続きの記事をエントリーしました⇒シラス番組開設見送りについて② - 呉座勇一のブログ (hatenablog.com)】 【6/15 16時半追記:ネット上では「これだけのことで開設見送りになるはずがない。呉座には他に余罪があるのではないか」という憶測が流れているようですが、少なくとも面談で公式に指摘された問題点は以下の事項だけです。根拠のない噂を流すことは御控えください。】 放送プラットフォーム「シラス」に6月16日に「呉座勇一のワイワイ日本史チャンネル」を開設予定でしたが、中止となりました。 6月16日に開設予定となっておりました「呉座勇一のワイワイ日本史チャンネル」は、諸事情により開設見送りとなりました。ご了承ください。 — 放送プラットフォーム「シラス」 (@shirasu_io) 2022年6月14日 昨晩行われました上田洋子氏、東浩紀氏らを交えたzoo
あずまんさあ、おれはあんたのこと、構造化――大塚風に言えば「見立て」――が飛び抜けて上手い学者だと思ってるよ。動ポモなんてまさにそうだし、クオンタムファミリーズだって小説としての構造にひねりがあって面白かった。そもそもソルジェニーツィン試論がソルジェニーツィンの内面はブラックスボックスであるまま、外側の構造を精緻に描いくことで、逆に内面を描いてみせるという話だったはずだ。というかリアルのゆくえで「同じ構造で論文を量産してた」みたいなこと言ってたよね? だからあずまんは福島瑞穂の話の構造を取り出して、その構造が問題であると見抜いたんだろう。実際福島の「自民党と統一教会に関係があったから襲ったと言っているが、その関係が事実であれば問題だ」という話の構造は「彼らの宗教を信仰しないから襲ったと言っているが、不信仰が事実であれば問題だ」とか「大量破壊兵器があるから襲ったと言っているが、大量破壊兵器が
批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * SFアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」(以下エヴァ)が完結した。最後の劇場版が8日に公開されたのである。異例の月曜公開にもかかわらず、初日動員は50万人を超えたという。 なぜそれほどの注目を浴びるのか。エヴァの基本は少年少女が巨大人造人間に乗り世界を救う単純な物語である。しかし周辺設定が多様な読みを誘発し、つねに問題作であり続けてきた。 TV版の放映開始は1995年。社会現象になり、阪神大震災やオウム真理教と重ねて語られた。97年の旧劇場版は私小説的なカルト映画で、庵野秀明監督自身が内向的オタクのカリスマになった。21世紀に入ると一転エヴァはクール・ジャパンのアイコンとなり、今度はエンタメの優等生を目指して作り直されることになった。再出発は順調に思えたが、東日
【参院選2022】開票特番|三浦瑠麗、東浩紀、石戸諭、夏野剛と見守ろう 3:11:00 https://youtu.be/T4HE9mY1xxc?t=11462 三浦瑠麗が安倍元総理が殺された件について聞いたところ、まっさきに統一教会について言及した福島みずほ。 開票特番の雰囲気としてはしっかりとした証拠もないのに要人の暗殺と特定団体を結びつけるのはヘイトクライムを誘う可能性もあるし、 党首がそのような言及をすること自体を問題視していた。東浩紀、石戸諭はもはや驚きを通り越して呆れていた。 三浦も驚きつつ、これはニュースになってしまう、聞いておいてなんだが自分には責任はないと思うと述べていた。 しかし一晩経ってもニュースにはなってないし、この番組における四人の反応は過剰だったように思う。 実際のところ安倍暗殺と統一教会がどのように関係があるか、次々と情報は出ているが本当のところはよくわからな
哲学者の東浩紀さんが立ち上げた動画配信プラットフォーム「シラス」が好調だ。開始から1年で登録者は2万5000人を超え、1カ月当たりの平均購入額は3000円以上。平均番組時間は2.8時間と非常に長いが、「有料で動画を楽しむ」スタイルが定着しているという。一体どこに魅力があるのか。東さんと、シラスで放送チャンネルを持つ辻田真佐憲さんの2人に聞いた――。 累計売り上げが1億円以上のチャンネルも ――2020年10月にスタートした動画配信プラットフォーム「シラス」が好調ですね。オープン1周年のプレスリリースには、登録者が2万5000人以上、番組購入者の1カ月当たりの平均購入額は3000円以上、累計売り上げが1億円以上のチャンネルと1000万円以上のチャンネルが各1つずつ、100万円以上のチャンネルが7つとありました。 【東浩紀】ありがとうございます。チャンネル数は予定通りにいけば、今年中に30チャ
ここ最近、ゼロ年代批評に造詣の深い紅茶泡海苔さん(@fishersonic)の企画で、かつて敗れていったツンデレ系サブヒロインさん(@wak)、大阪大学感傷マゾ研究会さん(@kansyomazo)、早稲田大学負けヒロイン研究会さん(@LoseHeroine_WSD)らとオンラインでお話しする機会があり、「感傷マゾ」や「青春ヘラ」「負けヒロイン」といった概念についていろいろ教えてもらった。当日の録音アーカイブはYouTubeで公開しているので、興味のある方は聴いてみてほしい。 www.youtube.com www.youtube.com 動画のタイトルにもあるように、これらの長い長い会話は「2020年代の批評ライン」の一環として企画されている。それが具体的にどのようなラインなのかは、動画のなかで断片的に語られている(ような気がする)ものの、全貌は私にもよくわからない。たぶん提唱者の紅茶泡海
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma こんなことは書きたくないが、ぼくはかつて、隠岐さんが偉そうにいっている「HPに掲載するに値する人文系の賞」、つまり隠岐さん自身が研究者業績に挙げている賞を最年少でもらったことがある。でもいま大学組織のなかにいないとだめなんですかね。 ちょっと人を馬鹿にしすぎなんじゃないですか。 twitter.com/okisayaka/stat… 2022-02-04 18:23:56 東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma 最近はさすがにいなくなったけど、ぼくに対して、東は大学に残れないので在野でくだらないことやっていると陰口を言うひとはかつていた。まあ言っとけと思って放置していたけど、本当にそう思われているとしたらとんてもないことだ。 2022-02-04 18:40:42 東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma そもそもぼくは東
◉Twitterで小森健太朗先生が、こんなツイートをされていました。東浩紀氏からは、いつの間にかブロックされていたので、元のツイートは転載できません(ログアウトして見に行くほど興味も関心もない)が、小森先生の鋭い指摘だと思います。なので、萌え絵と呼ばれるものがどういう文化の流れの中から形成されていったか、自分なりの考えをまとめておこうかな、と思った次第。学術的な論考ではないので、個人の愚考ですm(_ _)m 東浩紀さんが、萌え絵のルーツにエロゲがあるというようなことを言っているけど、エロゲが萌え絵を使っていたのはあっても、別に萌え絵がエロゲから生まれたわけではないから。当時多方面に広がった萌え絵がエロゲにもあったというにすぎない。起源をたどればいのまたむつみ絵(≠ポルノ絵)。 — 小森健太朗@相撲ミステリの人 (@komorikentarou) December 3, 2021 承前)萌え
東は2018年12月18日にツイッターでゲンロン解散を発表するが、上田洋子らに説得されて、解散は思いとどまる。東は21日付で代表辞任し、上田が代表に就任する。「ゲンロンに搾取されているという不満」(「ゲンロン戦記」、212頁)を抱いたそうである。ゲンロンの代表として会社のために苦労しているにもかかわらず、社員は楽しくやっているように見えるのが不満だったそうだ。理解しにくいところであるが、こういう理由から自分と同じくらいの貢献を社員に求めることになるようである。「ゲンロン戦記」のこの個所は異彩を放っていて、他は笑えるエピソードなのであろうが、ここは笑えないところであろう。代表辞任という重大な局面なので書かざるを得なかったのだろうか。 上田洋子の人生がゲンロンで好転したことは疑いない。博士号取得後燻ぶっていたが、チェルノブイリツアーの通訳を引き受けたところ、東に気に入られ、ゲンロンの副代表に就
お世話になっているみなさまへ、お知らせいたします。 2021年9月28日より、合同会社シラス(株式会社ゲンロンのグループ企業)が運営する放送プラットフォーム「シラス」にて、チャンネル「春木晶子のムーセイオン」を運営して参りましたが、この度、一年のテナント契約期間満了に伴い、本チャンネルが終了することとなりました。2022年9月27日24:00をもって、すべての動画が見られなくなります (*1)。 なお、わたしは終了に同意や承諾をしておりません。 「シラス」でチャンネルを開設・運営するために結ばれるテナント契約は、一年契約ではありますが、これまで契約が更新されなかったチャンネルはありません。一年で終了となるのは本チャンネルが初めてとなり、異例の措置と言えます。しかし、シラス社から終了の理由や経緯などは発表されていません。またわたしも、この件に関してこれまで一切言及してきませんでした。 チャン
「軍事侵攻が始まったことを知ったのは、SNSだったと思います。とにかくびっくりしました。キーウには行ったことがあり、その町が戦火に包まれるのかと、非常に憂鬱な気分でした」 目黒川が流れる五反田の一角にあるオフィスで話を聞かせてくれた東浩紀さんは、ロシアがウクライナに侵攻を始めた2月24日のことについて、こう教えてくれました。 東浩紀さん 実は東さん、2013年から、ウクライナへの観光ツアーを主催してきました。 ウクライナには、1986年に試験運転中に爆発した「チョルノービリ原発(チェルノブイリ原発)」があります。 ツアーのねらいは、参加者に、この事故のこと、現地にいる人たちのことを理解してもらうことだったといいます。 しかし、東さんが始めた観光ツアーは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、中止を余儀なくされます。 UNWTO(国連世界観光機関)によると、新型コロナの感染拡大前の2
批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * リベラルにとっては驚きの結果となった。統一地方選前半戦での日本維新の会の躍進のことである。 維新は大阪府知事・市長のダブル選で圧勝し、奈良県知事選にも勝利。大阪府市両議会で単独過半数を獲得したうえ、他県でも議席を増やした。他方で立憲民主党は存在感を示せず、唯一の与野党対決となった北海道知事選で惨敗した。共産も大幅に議席を減らし、右派改革勢力と左派で明暗が分かれた。 この結果は「野党共闘」の時代が終わったことを意味している。共闘は2015年に始まった。SEALDsなど若い世代の運動が現れ、新たな政治への期待が高まった。 しかし17年に民進党が実質的に分裂すると、共闘は急速に左派色を強め始める。結果として現在の共闘勢力は、立民と共産両党の岩盤支持層の顔色を窺(う
非モテ論壇は、小谷野敦の「もてない男」 (1999年)に始まり、本田透に引き継がれるが、ものすごく盛り上がっているというほどでもなかった。本田は消息が分からなくなり、小谷野も2017年頃から売れなくなった。ツイッターでは雁琳のような第三波フェミニズムに応対できる論者が主流となっているが、そういうのの影に隠れたかたちであろう。大場博幸「非モテ独身男性をめぐる言説史とその社会的包摂」(2021年、教育學雑誌 (57) 31-43)というレビュー論文がある。ロスジェネ論壇も盛り上がった印象はない。氷河期世代はそれどころではなかったのだろうか。雑誌「ロスジェネ」は迷走してしまい、第3号は「エロスジェネ」で、第4号で終刊した。 東のゼロ年代はゼロアカ道場で幕を閉じる。東チルドレンを競わせるという企画であり、ゼロアカとは「アカデミズムがゼロになる」という意味らしい(「現代日本の批評2001-2016」
昨年のツイッター事件以来、社会的に孤立した立場にあった私にとって、ゲンロン・シラスは、貴重な活動の場でした。東浩紀氏をはじめ、スタッフ・関係者の皆様のご助力には、今でも感謝しており、恩義に感じています。 今回、チャンネル開設の話をいただいた時は少しでも恩返しができると思いました。配信の準備の過程で、ゲンロン・シラスのスタッフの方にはたいへんお世話になりました。にもかかわらず、チャンネル開設が実現しなかったことは、私としては極めて残念です。プラットフォーム運営会社としての決定に対し私から法的に争うつもりはございません。 しかしながら私に名誉毀損の発言があったかのような誤解が広まりますと、私の発言が読めず、第三者からは検証不能な状況であるだけに、非常に困ります。この問題に関するゲンロン側の主張につきましては、東浩紀氏が情報を補足されておりますので、そちらもご参照ください。 東浩紀 Hiroki
一般に「めんどうくさい界隈」と総称されるゲンロン附近で、衝突事故が起きたというので見物にいってきました。 ほう… シラスを運営しているゲンロンの創設者である東浩紀さんを、番組開設予定だった呉座勇一せんせが辻田真佐憲さんのシラス番組で批判して、信頼関係が失われてキャンセルとな? そもそも、問題の発言をしたのは呉座勇一せんせではなく別の人ではないですかね? ブログでの告知がありましたので、より明確に書いておきます。開設をお誘いした身としては、今回の事態をたいへん残念で、申し訳なく思っております。今後、イベント登壇そのほかでご協力できるよう努めて参ります。 シラス番組開設見送りについて - 呉座勇一のブログ https://t.co/zR0HDXGaPq — 辻田 真佐憲@『防衛省の研究』12月刊 (@reichsneet) June 15, 2022 なんだなんだと思ってクソ忙しいところ興味本
東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数この記事の写真をすべて見る ※写真はイメージ(gettyimages) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 東京大学大学院情報学環・学際情報学府の大澤昇平特任准教授が、ツイッターで差別的投稿をしたとの理由で1月15日付で懲戒解雇となった。 氏は昨年11月、自身が経営する企業では中国人を雇わないと表明し、その後も特定の国家や民族を攻撃する投稿を繰り返していた。解雇の判断は妥当だといえる
傑作や駄作を超える〝怪作〟 ときどき、まったく共感できない主人公の映画に出合うことがある。しかも主人公が悪役などではなく、得体の知れない人物のケースだ。 たとえば、20世紀初頭のアメリカで油田を掘り当てて一獲千金を狙う中年男性を描いた『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007年)。あるいは、ハンバーガー店・マクドナルドを創業者から乗っ取るビジネスマンを描いた『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2017年)。 彼らに共通するのは、みずからの欲望をひたすら押し進めることだ。それゆえ野蛮だったり狡猾だったり下品だったり、共感できるところはとても少ない。しかしそんな人間だからこそ興味深く凝視してしまう。「貪欲」との表現をはるかに超える得体の知れない欲望を彼らが見せるからだ。 5月10日に公開された『トラペジウム』も、そういうタイプのアニメ映画だ。ただこの作品が奇妙なのは、主人公がアイドルを
哲学者の東浩紀氏の新著『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』が、世代を超えて話題を呼んでいる。 学会や文壇の常識には囚われない「知のプラットフォーム」を志し「ゲンロン」を東さんが創業したのが2010年のこと。これまでの葛藤を赤裸々につづった奮闘記は、起業家やビジネスパーソンのみならず、コロナ禍で不安を抱えながらも自分の道を切り拓こうともがく若者にも支持されている。 『ゲンロン戦記』には東さんとゲンロンが、混乱の中を戦い続けた「2010年代」が描かれている。SNSが影響力をもち、個人が自由に情報を発信できるようになったことは「アラブの春」に象徴されるような“革命”にも影響を与えた。その一方、分断やメディアビジネスにまつわる歪な構造をも生んだ負の側面もある。 「インターネットの力を信じられなくなった」と失望を語りつつ、それでもネットや出版を通じて自らが信じる哲学を試行錯誤してきた東さん。201
東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数この記事の写真をすべて見る ※写真はイメージ(gettyimages) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * ポスト・コロナ社会をめぐる議論が始まりつつある。鍵となるのはオンライン化をめぐる新しい格差だろう。 この数カ月で人々の身体感覚は大きく変わってしまった。かつて集まることは価値だった。いまや身体的接触そのものがリスクとみなされている。その結果世界中で力を強めているのが「社会活動の
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