量子コンピューターを開発できれば、従来のスーパーコンピューターでは解けない複雑な問題も解けるようになると期待される。この「量子超越性」という概念を米グーグルなどが初めて達成したと2019年に発表し、注目された。研究はどこまで進んでいるのか。【信田真由美】 ●基礎技術、日本で開発 量子コンピューターが実現すれば、まず急速に進むと考えられているのが創薬だ。分子の動きを量子でシミュレーションできるため、薬の候補物質作製に必要な化学反応を予測できるようになる。 製造業の効率化により環境への負荷を減らせる期待もある。例えば肥料の原料のアンモニア製造には、高温高圧処理によって窒素と水素を化学反応で定着させる工程がある。より低温低圧で反応を起こせる方法が量子コンピューターで見つかれば、エネルギー消費の削減につながる。