岩谷産業は2027年までに約500億円を投じ、川崎市と愛知県豊田市に液化水素の製造拠点を新設する。水素は使用時に二酸化炭素(CO2)を排出しないため、バスやフォークリフトの動力源として活用が広がる。発電など用途の広がりを見据えて、国内で水素を生産できるサプライチェーン(供給網)を整える。岩谷産業は新設するプラントで水素を製造し、マイナス253度以下に冷却して体積の小さい液化水素にしてから貯蔵す
ヤマト運輸ら4社が日本で初めて、水素を使う燃料電池大型トラックの走行実証を開始。充填時間のほか、6本の大型水素タンクがスペースを占めるなどの課題もあり、「そもそも使えるのか」から検証を行います。 25トン大型FCEVトラックを公開 物流4社が使いやすさを検証 電動化に続き、水素を燃料とする物流のカーボンニュートラルへの挑戦が始まっています。アサヒグループジャパン、西濃運輸、NEXT Logistics、ヤマト運輸の物流4社は「日野プロフィア」をベースとする燃料電池大型トラック(大型FCEVトラック)を実際の業務に使って、水素燃料活用の可能性と実用性について検証を開始しました。日本初の実験のテーマはズバリ、“そもそも使えるのか”です。 拡大画像 ヤマト運輸が実証実験に使う大型FCEVトラック。荷室とキャビンの間に大型高圧水素ボンベを収納するスペースがある(中島みなみ撮影)。 ヤマト運輸は20
車の最新技術 更新日:2023.06.16 / 掲載日:2023.06.15 液体水素と超電導モーター【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】 文●池田直渡 写真●トヨタ、池田直渡 5月27日から28日にかけて、NAPAC富士SUPER TEC24時間レースが開催された。もはやスーパー耐久(S耐)に水素内燃機関(HICE)のカローラが出場することは新しくもないが、今回は大きなニュースが2つあった。 ひとつは100周年を迎え、世界3大レースにカウントされる「ル・マン24時間レース」の主催組織であるACO(フランス西部自動車クラブ)のピエール・フィヨン会長が来日し、会見を開いたことだ。 この会見で、フィヨン会長は、26年からル・マン24時間レースに水素燃料車の参加を認めると発表した。トップカテゴリーに参加が認められるのは燃料電池車(FCEV)とHICEを搭載する車両。つまりハイパーカークラスに、水
このところ脱炭素に関する議論が活発になっており、「水素」の活用がメディアで取り上げられるケースも増えている。だが、水素については多くの誤解があり、誤った解釈をしている記事も多い。 脱炭素シフトに水素が重要な役割を果たすのは事実だが、水素というのは再生可能エネルギーや原子力など二酸化炭素を排出しないエネルギー源とセットにすべきものであり、水素そのものが脱炭素問題を解決するわけではない。この事実をしっかり抑えておかないと、適切な水素活用を阻害する可能性もある。 水素単体では脱炭素問題を解決することはできない 学校の理科で習ったと思うが、水素の原子番号は1番であり、もっとも軽い元素である。水素の元素記号はHなので、水素を酸化(燃焼)させるとH2O(水)になる。つまり、水素は燃やしても水しか生成しないので、水素単体で見ればクリーンなエネルギー源と考えてよい。 水素はもっとも存在量が多い元素でもある
水素回収の新技術開発 既存の精製過程不要―大阪大 2022年10月28日07時13分 天然ガスなどから水素を製造する際、不純物として生じる一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)などを簡単に除去し、水素だけ高純度で回収する基礎的な技術が開発された。大阪大大学院工学研究科の星本陽一准教授らが27日、米科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。 東芝、水電解装置用電極で新技術 イリジウム量10分の1に 水素製造は精製過程がネックになっており、実用化されればコストが大幅に下がり、自動車の燃料電池などへの利用が加速すると期待される。 この技術は、水素を一時的に取り込ませ、貯蔵する液体の有機化合物「2―メチルキノリン」とホウ素などから成る触媒「B1」の組み合わせ。 耐圧反応容器内で有機化合物に触媒を混合した上で、COやCO2を含む水素ガスを加えて100度で2時間加熱すると、水素だけ有機化合物に取り込
プリウスなどのハイブリッド車にいち早く着手したトヨタ。そんなトヨタがなぜいま水素に注目し、開発を進めることとなったのか。今回はその経緯と理由に迫る。 2021年4月、トヨタ自動車は「水素エンジン」の技術開発に取り組む意向を示した。また2022年6月には「水素エンジン車市販化に向けた取り組み」と、「液体水素搭載への挑戦」についても発表している。 公式ウェブサイトで公開された本リリースは、自動車レース「スーパー耐久シリーズ」に先駆けて発表されたものだ。同ページでは「モータースポーツの厳しい環境で水素エンジンを鍛えていくことで、サスティナブルで豊かなモビリティ社会を実現すべく、貢献していきます」といった記載が。水素エンジン車の市販化に向けた研究開発も、「レースで鍛えた技術」を生かしていくとのことだった。 とはいえ、水素自動車の開発に力を入れている自動車メーカーはまだ少ないこともあり、現状では 「
私事だが、27日に父が亡くなった。父の話は高齢者の健康と運転の関係性の一例として、11月に記事に書いた。結局免許返納から4年半ほどで亡くなったことになる。 もちろん高齢者の寿命と免許証返納の関連性がどの程度かは、このたった一例をもってどうこういえることではないが、身近で見ていた家族としては、やはりクルマを降りてから亡くなるまでの4年半、クオリティ・オブ・ライフへの影響は少なくなかったように感じている。 しかし、いずれにしてもどこかのタイミングで運転を止めなくてはならなかったであろうとも思うし、運転を続けていたらもう少し元気で長生きしたかもしれない可能性とのバランスは、何ともいいようがない。あの記事の行き着いた先の一応のご報告である。 そんなわけで、ちょっとバタバタしたけれど、原稿を書く時間すら取れないわけでもないので、今週もいつも通り書いてしまおう。 さてお題は水素。それはつまり燃料電池車
トラックやバス、建機など重量車の環境対応では、水素を燃やした水蒸気でエンジンを動かす「水素エンジン車」(狭義の水素自動車)が候補の一つだ。フラットフィールド(神奈川県厚木市)や東京都市大学の伊東明美教授らのグループは、課題だった出力でディーゼルエンジン並みを実現した。従来の技術やノウハウが活用できるため、自動車部品を含むメーカーも高い関心を寄せている。(編集委員・山本佳世子) 脱炭素など環境にやさしい車といえば、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)が思い浮かぶ。しかし長距離走行の車には、電池が大きいため適さない。ナトリウムがある海辺や、硫黄の温泉地などで耐久性が十分でない心配もある。 そこで注目されるのが通常の車の燃料を、ガソリンから水素に替える手法だ。東京都市大の伊東教授は「欧州では急激に注目が集まっており、日本でも準備をしておく必要がある」と説明する。同大などのグループは、環境
日本は輸入した石油やガス、石炭をエネルギー源とする産業基盤を軸に世界第3位の経済を築いた。 だが今、そのエネルギー源の大きな部分を水素に移行する計画を進めている。水素エネルギーは長年、コストがかかりすぎて効率が悪く、現実的ではないと一蹴されてきたが、日本は世界で最も大きな賭けの一つに打って出ている。 日本は今後30年間で事業活動に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするという目標を掲げており、そうした移行はその達成に不可欠だ。この賭けが成功すれば、世界のサプライチェーンの基礎作りにもなり、ようやく水素がエネルギー源として台頭し、石油や石炭が一段と脇に追いやられる可能性があると専門家らは話す。 水素は過去にも大きな話題を呼んできたが、まだ経済的にも技術的にも克服すべき課題がある。日本のアプローチは何年もかけて化石燃料から徐々に脱却する段階的なプロセスになる可能性が高く、当初はCO2排出
――合成燃料はどこまで実現している技術なのでしょうか。 技術自体は昔からある。ナチス時代のドイツでは輸入石油のほぼ2倍の人造石油を作っていた。大量の石炭から油を作っていたわけである。 化石燃料を使ってはいけない ――合成燃料は脱炭素の切り札になるということでしょうか。 そんな簡単な話ではない。合成燃料はもともと石油以外の化石燃料から石油を作る目的の技術だ。しかし、今望まれているのは脱炭素だから、化石燃料を使ってはいけない。化石燃料を使わないで原料を調達し、それを合成して初めて脱炭素につながる。 グリーン水素をどうやって調達して、さらにCO2をどうやって集めるか。そこに課題がある。再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力から電気分解でグリーン水素を作ることはできるが、コストの問題がある。CO2の濃縮・回収も難しい。化石燃料からでなければ、大気からCO2を回収しないといけない。 ――火力発電所な
使用してもCO2を排出しない次世代のエネルギーとして期待される水素(「『水素エネルギー』は何がどのようにすごいのか?」参照)。水はもちろん、石炭やガスなど多様な資源からつくることができる点も大きな特徴であり利点です。では、それらの資源からどうやって水素を製造するのでしょう?今回は、水素社会の実現のために重要な、“水素をつくる”方法についてご紹介しましょう。 水素には「グレー」「ブルー」「グリーン」がある?! 水素が大量につくられ、自動車など輸送の動力源として、あるいは発電のエネルギー源として、さまざまなところで利用される「水素社会」。この水素社会をつくっていくためには、「カーボンフリーな水素社会の構築を目指す『水素基本戦略』」でもご紹介したように、水素をつくったり運んだりする際にかかるコストを低減していくことが必要であり、そのためには以下の3つを実現していくことが求められます。
トヨタはEV化の盲点を突く考えを持っている?(写真は2019年1月、米デトロイトのモーターショーに出席した豊田章男社長) Brendan McDermid-REUTERS 自動車の電動化(EVシフト)が進んでいる。「EnergyShift」発行人の前田雄大さんは「トヨタをはじめとする日本勢が電動化で出遅れているとの見方があるが、それは間違いだ。トヨタがEVよりも水素自動車(FCV)にこだわり続けているのには理由がある」という──。 なぜ「EV化」ではトヨタの名前がないのか 2016年のパリ協定の発効以後、国際社会では着々と脱炭素化が進展していた。加えて昨年9月、中国の習近平国家主席が国連総会で、2060年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言。アメリカも脱炭素を全面に打ち出すバイデン政権が発足したことで、その流れは決定的となった。 自動車のEV化はもはや世界
テラ・ラボ(愛知県春日井市、松浦孝英社長)は、水素燃料電池(FC)で飛ぶ垂直離着陸タイプの無人航空機「テラドルフィン4300 eVTOLタイプ」を開発した。FCは国産で飛行時間は2時間、航続距離は200キロメートル、最高時速は150キロメートル程度。垂直離着陸で滑走路が要らないため、洪水の被災地調査をはじめ消防や官公庁などの需要を狙う。 地上から垂直離陸する飛行試験は2021年末に福島県南相馬市で終えており、23年までに水素FCの飛行実験を目指す。 機体はガソリンエンジンを搭載した「テラドルフィン4300」をベースとしつつ、エンジンは胴体後部のものと垂直離着陸用の4個の計5個を、すべて水素FC駆動とした。水素FCの場合、リチウムイオン電池に比べ大幅に飛行時間を延ばせるほか、発生する騒音もガソリンエンジンよりはるかに小さい。沿岸警備などに用いた場合、相手に発見されにくい長所もある。 機体寸法
気象パターンを歪めている二酸化炭素(CO2)排出を削減するためのソリューションの中で、水と電気だけで作られる「グリーン水素」ほど有望なエネルギー源は存在しない。しかし、現状では水素の大部分は、天然ガスを水蒸気と反応させることで製造されており、その過程でCO2を放出している。 ゴールドマン・サックスによれば、全世界における水素エネルギーの市場規模は1200億ドル(約18兆円)以上というが、その大部分は天然ガス由来の、CO2を排出する「グレーな水素」だ。CO2を出さないグリーン水素の難点は、コストがはるかに高いことにある。 そんな中、大規模な太陽光発電のコストを引き下げることに成功した起業家のラフィ・ガラベディアンとデビッド・イーグルシャムの2人は、再生可能エネルギーを用いて、この状況を変えようとしている。彼らが2021年に立ち上げたElectric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロ
川崎重工業は2030年ごろの商用化を目指す大型液化水素運搬船の建造にデジタル技術を全面導入する。3次元(3D)モデルなどを使ってデジタル空間上で船をデザインし、建造前に事前検証できる。造船業では浸透していない部品表(BOM)も導入する。造船業は試作品を製作しないため、建造工程で手戻りが発生しやすい。人手不足が課題となる中、将来の中核に据える水素事業の主要機器となる大型液化水素運搬船の効率的な建造体制を整え、水素普及による需要拡大に備える。 タンク4基を搭載する容量16万立方メートルの大型液化水素運搬船に導入する。設計、調達、建造の各工程の情報をデジタルで連携し、手戻りを防ぐ仕組み。 デジタル空間上で船をデザインして事前検証することで、実際に建造を始めてから問題が生じ、前の工程に戻る事態を防げる。BOMはコングロマリット(複合企業)である自社の強みを生かし、航空機製造の知見を活用する。 川重
国内で燃料電池車(FCV)の燃料である水素を大幅に値上げする動きが相次いでいる。政府や自動車メーカーが脱炭素化に向け水素の利用拡大の取り組みを進めているが、内燃機関を使うハイブリッド車(HV)よりも割高となる燃費が普及の足かせとなる恐れがある。 岩谷産業は17日、6月1日から同社水素ステーションでFCV向けに販売する水素価格を1キログラム当たり1650円(税込み)と現行の1210円から約36%値上げする予定であることを明らかにした。エネルギーコストや保安費など諸経費の上昇で著しく採算が悪化しているため値上げを決めた。同社が水素ステーションで販売する水素価格を値上げするのは今回が初めてだという。 この日午前の取引で同社株は一時前日比1.7%安の8842円まで下げていたが報道を受けて急速に下落幅が縮小、一時はプラスに転じる場面もあった。 これに先立ちENEOS(エネオス)もインフレによる運営コ
石炭大国のオーストラリアで、日本企業が参加して、二酸化炭素を排出しない次世代のエネルギーとして注目される水素を石炭から作り出し、日本に輸出する実証実験が始まり現地で式典が開かれました。 オーストラリア南東部のビクトリア州で開かれた式典には日本とオーストラリアの両政府、それに日本の電力会社や大手機械メーカーなどでつくる企業連合からおよそ70人が参加しました。 この中で、実証実験に参加する電源開発の現地法人の作野慎一社長は「この地の石炭から水素を作り出すため、最先端の技術とノウハウを活用している」とあいさつしました。 オーストラリアのテイラーエネルギー排出削減担当相は「二酸化炭素排出の削減や雇用の創出、投資の促進につながる」と述べ期待を示しました。 日本の企業連合は、現地で豊富にとれる「褐炭」と呼ばれる低品質の石炭を加熱して水素を製造する工場と、水素をマイナス253度まで冷却して液化する工場を
再生可能エネルギーで水を電気分解して生産する「グリーン水素」は、これまで世界のエネルギー動向を左右してきた世界の産油国をも揺さぶっている。グリーン水素の急増に手をこまぬいていれば、石油が売れなくなった際に国家としての存立基盤を失うからだ。このため、主な産油国は急速にグリーン水素の大量生産へと動き出した(表1)。 表1 中近東、アフリカ、中央アジア、南アジアの主なグリーン水素生産計画。1GW以上または斬新な試みを取り上げた。斬新な試みについては赤字で記してある。 サウジ政府は2050年までに80兆円超を投資 その動きをけん引するのがサウジアラビア、そしてカザフスタンである。サウジアラビアの石油最大手Saudi Aramco(サウジアラムコ)などは2030年までに300億米ドル(1米ドル=約115円で約3.5兆円)を投じて58.7GWの規模でグリーン水素とアンモニアの生産計画を立てている。 同
アウディはe-fuelに積極的だ。これはe-gasのプラント 究極の自動車エネルギーは水素だ!……この動きがふたたび活発になってきた。さまざまな検証によって「電池を使うBEV(バッテリー電気自動車)は無駄が多い」ことが明らかになってきたためだ。コロナ後の自動車開発は、一気に水素へと向かう可能性が出てきた。 TEXT◎牧野茂雄(MAKINO Shigeo) すべての写真を 見る 水素評議会(Hydrogen Council)の存在と活動の中身 PHOTO:Hydrogen Council 水素利用に向けて2017年1月に開催された世界経済フォーラム(通称ダボス会議)で発足した水素評議会(Hydrogen Council)の存在はあまり知られていない。当初はエアリキッド(Air Liquide)、アルストム(ALSTOM)、アングロアメリカ(Anglo America)、BMW、ダイムラー、エ
碧南火力発電所 (出典)JERA HP 昔ながらの肥料としての利用にとどまらず、次世代エネルギーとしての大きな可能性が期待されているアンモニア。「アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先」では、アンモニアについての基礎知識と、燃料としての利用方法について簡単にご紹介しました。後編では、燃料として利用する際の技術や、課題とされる安定供給への取り組みについてご紹介しましょう。 CO2削減に役立つアンモニアの火力発電への混焼は大規模実証へ 燃料としてのアンモニアは、「燃焼時にCO2を排出しない」という特性から、CO2排出量削減に役立つ可能性がある次世代エネルギーとして、近年になって注目を集めるようになりました。期待されている用途は、発電分野から、工場などで利用する産業分野、輸送分野まで幅広いものです。 中でも現在もっとも技術開発が進んでいるのが、石炭火力発
2024年5月、富士スピードウェイ(静岡県小山町)での24時間耐久レースでトヨタ自動車の液体水素エンジン車が幾つかの新技術を搭載して、2年目の大きな進化を見せたのはリポートした通り。トヨタの水素エンジン車としては、2021年から4年連続の24時間耐久レースへのエントリーとなった。その狙いは、あくまでもカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ、CN)で高効率な水素エンジン車を市場に投入することである。 水素エンジン車開発の進捗状況を探るため、筆者は富士スピードウェイのレース会場でトヨタのキーパーソンを直撃した。耐久レース用の水素エンジン開発を担当するトヨタGAZOO Racing Company GRパワトレ開発部主査の⼩川輝⽒だ。同氏は市販予定の水素エンジンの開発も兼務している。話を聞いていくと、驚きの開発実態が判明した。 熱効率は良くないが、「ストイキ」燃焼を有力視している――。一
燃料電池で駆動するセミトレーラーで、物流業界に革命を起こすという「ニコラ・モーター(Nikola Motor)」の夢を実現するためには数年が必要だが、アリゾナ州本拠の同社はナスダック市場への上場で巨額の資金を調達した。 ニコラ・モーターの創業者兼CEOのトレバー・ミルトンは、上場によりマルチ・ビリオネアの地位に駆け上がった。同社の株価は33.75ドルで、上場初日の6月4日の取引終了時刻を迎え、時価総額は約120億ドル(約1.3兆円)に達した。フォーブスは、ニコラの創業者のミルトンの保有資産を37億ドルと試算している。 ニコラの将来に期待を寄せるのは、投資家だけではない。「当社は世界中の大手OEMと面談を重ねている」と創業者のミルトンは話す。背景には、同社の取締役に元GM副会長のStephen Girskyが加わったことがあげられる。 ニコラは上場を行うにあたり、時間がかかるIPOを避け、既
トヨタは13日、長年にわたりファンの多い軽量スポーツカー「AE86」を改造したコンセプトカー2種を公開した。トレノを水素エンジン車、レビンをバッテリーEVに改造した。 トヨタは1月13日、長年にわたりファンの多い軽量スポーツカー「AE86」を改造したコンセプトカー「AE86 H2 Concept」「AE86 BEV Concept」を公開した。同日、幕張メッセで開幕した「東京オートサロン2023」のTOYOTA GAZOO Racingブースで展示する。 オリジナルの状態を極力残しつつ、スプリンタートレノを水素エンジン車、カローラレビンをバッテリーEVに改造した。 トレノは後方に「MIRAI」の高圧水素タンクを2本搭載。その他の変更点はインジェクター、フューエルデリバリーパイプ、プラグなど改造規模を最小限にとどめた。「音や振動といった内燃機関のもつ魅力を楽しみながら走行可能な車両を開発した
生産時に二酸化炭素(CO2)を出さない再生可能エネルギー由来の水素「グリーン水素」を大量生産する動きが世界中で加速している。ただし、“その先”は実は選択肢が複数あり、コンセンサスは取れていない。 その先とは、生産した水素をどのような形態で保管・貯蔵、または輸送・運搬するかについてである。水素そのままでは体積が大きすぎて輸送・運搬はおろか保管もままならないため、何らかの工夫をする必要がある。 具体的には、およそ7通りある。(1)パイプラインで需要者まで送る、(2)圧縮してボンベなどに充填して運ぶ、(3)水素吸蔵合金に吸収させて運ぶ、(4)液化水素にする、(5)LOHC(Liquid Organic Hydrogen Carriers)に変換する、(6)アンモニアに変換する、(7)合成メタンや合成メタノールに変換する――である。(5)~(7)は水素ではないモノに一度変換して保管、運搬した後、水
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