【読売新聞】 脱炭素には、製造業の二酸化炭素(CO2)排出量のうち4割を占める鉄鋼業界の取り組みが不可欠だ。技術革新を急ぎ競争力の強化につなげてもらいたい。 国内の鉄鋼大手は、高炉での生産を主力としている。鉄鉱石と、石炭で作るコーク
みやたけ・わたや/バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。幅広く各種記事を執筆中。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護にリアルに対処中。また「駅弁・郷土料理の再現料理人」として指原莉乃さん・高島政宏さんなどと共演したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅(既刊2巻・イカロス出版)など。23年夏には新しい著書を上梓予定。 note:https://note.com/wataya_miyatake/ News&Analysis 刻々と動く、国内外の経済動向・業界情報・政治や時事など、注目のテーマを徹底取材し、独自に分析。内外のネットワークを駆使し、「今」を伝えるニュース&解説コー
<ドイツでは、再生可能エネルギー由来の電力で水素を生成する「グリーン水素」が新たな動力源として有望視されている ......> 「気候変動アクションプラン2050」のもと、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を目指すドイツでは、再生可能エネルギー由来の電力で水素を生成する「グリーン水素」が新たな動力源として有望視されている。 「水素技術の分野でドイツが世界ナンバーワンとなるための道筋を定める」 2020年6月6日に発表された経済対策においても、中長期施策として、水素技術の研究開発を含め、再生可能エネルギーへの転換に500億ユーロ(約6兆700億円)を投じることが示されている。 6月10日には「国家水素戦略」が承認された。ドイツ国内で水素由来の電力量の需要が2030年までに90〜110TWh(テラワット時)となると仮定し、水素を製造する電解槽の規模を5GW
加地テックは2021年度内にも燃料電池車(FCV)水素ステーションのコストダウンにつながる新型圧縮機を市場投入する。従来機に比べて圧縮機構を簡素化した。顧客企業で性能確認試験に入っており、良好な結果が得られ次第、提案を本格化する。国の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、圧縮機の25年ごろのコスト目標として16年比45%減が掲げられており、新型機とその量産効果で達成を目指す考えだ。 新型圧縮機は、標準型の吐出圧力82メガ(メガは100万)パスカル、吐出量1時間当たり340ノルマル立方メートルといった能力はそのままに、従来機の3気筒5段圧縮タイプを改良し、2気筒4段圧縮で実現する。設置現場での安定的なメンテナンス性にも配慮し、圧縮機ユニットの過度なコンパクト化は避けた。導入コストだけでなく運用コストの抑制も意識している。 気体の水素を超高圧に圧縮する圧縮機ユニットは、水素ステーションを構成
ベルギーのアントワープで開催されたBMWの燃料電池に関するワークショップで、試乗車として用意されていたのは『X5』に燃料電池を詰め込んだ『iX5 HYDROGEN』だった。車体に“HYDROGEN”と書かれたBMWに乗るのは2006年以来のことである。 BMWの燃料電池車『iX5 HYDROGEN』2006年にBMWは水素燃料に関するワークショップを開催しており、そこにあったのはV型12気筒の水素エンジンを積んだE65の7シリーズ『HYDROGEN 7』だった。いわゆる水素エンジンで、リヤに設けられた細いパイプからしたたり落ちる水をコップですくい、それを舐めさせられた記憶がある。この水素エンジンはガソリンも使えるデュアルモードを備えていて、BMWは持続可能な将来に向けての水素エンジンの有用性を強くアピールした。ところがそれ以降、BMWから水素エンジンという言葉はまったく聞かれなくなってしま
燃やしてもCO2を発生しないクリーンエネルギーとして知られている水素。しかしカーボンニュートラルの実現に向けては、「利用」する時だけでなく、「製造」する過程においてもCO2を排出させない仕組みが必要である。そこで近年世界から注目を集めているのがグリーン水素だ。グリーン水素とは、再生可能エネルギー由来の電気を使って得られた水素を言う。ここでは政府の「水素基本戦略」や「グリーン成長戦略」を踏まえながら、他の水素との違いや社会実装の状況について、グリーン水素の基本をわかりやすく解説する。 グリーン水素とは何か グリーン水素とは、再生可能エネルギー(再エネ)を使って発電された電気を使い、水を電気分解(電解)して得られた水素であり、製造時にCO2を排出しない水素だ。想定される用途としては、燃料電池車(FCV)といったトラックや船、製造工場、製鉄の還元剤など、用途は多岐にわたる。 水素を燃焼させてもC
さて、前編ではトヨタの新型MIRAIプロトタイプの刷新内容と走りについて評価した(記事参照)。運動体として、魔法の絨毯(じゅうたん)のような極上の乗り心地と、重量級GTとして破格の運動性能を両立していることをお伝えしたのだが、インフラとの兼ね合いなしにFCVの普及はあり得ない。後編ではそのインフラの今と未来をエネルギー政策全般を通してチェックしてみたい。 水素の現状 まずは厳しい現実の話から始めよう。第一に2020年11月のこの時点において、水素スタンドのインフラはかなり絶望的な状態にある。相当に言い訳を重ねないと擁護できない。 筆者が知る限り、ふらりと行って水素充填ができるスタンドは23区内ですら2軒しかない。港区の芝公園(9:00〜21:00)と大田区の池上(9:00〜17:00)にあるイワタニの水素ステーションだ。それ以外はあらかじめ電話で確認してから行かないと営業していない恐れがあ
海を越えて水素を運べる世界初の船である「すいそ ふろんてぃあ」。川崎重工業(以下、川崎重工)の社内でその開発が本格化したのは2010年代前半のことだった。-253℃を維持し、水素を液化状態で保つ貯蔵タンクの構造には大いに頭を悩ませたが、苦心惨憺(くしんさんたん)の末に船舶用タンクとして異例の「真空断熱」に活路を見いだした。 「駄目だ、駄目だ! こんな材料は使い物にならん」 真空断熱というアイデアによってプロジェクトをようやく一歩進めた「すいそ ふろんてぃあ」の開発チーム。だが、一難去ってまた一難。さらに分厚い壁が彼らの前に立ち塞がった。真空断熱に決めたのはよいものの、タンクの開発に構造に起因する別の課題が噴出したのである。メンバーから提案された材料の評価を問われ、開発リーダーの村岸治は思わず声を荒らげた。 真空断熱は2重構造になった容器の外側容器(外槽)と内側容器(内槽)の間を真空にする技
2019年の東京モーターショーに出品された、トヨタの新型MIRAI(ミライ)のプロトタイプ試乗に呼ばれて、富士スピードウェイのショートコースに出かけてきた。 さて、MIRAIというクルマは書く側にとってややこしい。そもそも変わったシステムだからだ。もちろんいつだって、一番大事なのはクルマの出来なのだが、今回はほぼ全てが刷新されて生まれ変わった。駆動方式も、動力システムの配置も、シャシーも違う。当然パッケージデザインもまるっと変わった。それだけ違うのはターゲット顧客が変わったからだ。これだけでもずいぶん文字数を食う話である。 加えて、水素インフラの長期展望の話も避けて通れない。それは別途後編に書くとしても、今回の前編もまた結構長い話になるだろう。 ゼロベースで見直し さてまずスタイルとシステムレイアウトから話を進めよう。初代MIRAIは、事実上世界初の燃料電池車(FCV)として2014年にデ
なにこれデロリアン? イスラエルの空飛ぶ水素燃料電池タクシー「CITYHAWK」2020.06.29 10:0060,892 岡本玄介 レトロ・フューチャリスティックなデザインがイイですね。 戦闘機の元パイロットや設計技師など、イスラエルにおける航空宇宙産業の専門家たちが集結したMETRO SKYWAYS社。彼らはこれから、ちょっとデロリアン(映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンのベースになったクルマ)に似たVTOL(垂直離着陸機)を本格的に作ろうとしています。 都会を飛ぶ鷹「CITYHAWK」それは水素燃料電池を使って空を飛ぶタクシー「CITYHAWK」。どんなVTOL機なのか、プロモーション動画でチェックしてみてください。 Video: UrbanAero/YouTube横から見るとどうやて飛ぶのかサッパリわかりませんが、上から見ると一目瞭然ですね。2枚重ねになった巨大
韓国の丁世均(チョン・セギュン)首相は10月15日に開催した「第2回水素経済委員会」において、水素経済の拡大を図るべく「水素発電義務化制度(HPS:Hydrogen Energy Portfolio Standard)」を2022年に導入すると発表した。同制度は、太陽光、風力などを含む既存の「新再生エネルギー供給義務化制度(RPS:Renewable Energy Portfolio Standard)」から水素発電を切り離し、安定した普及体制を構築することを目指す。 韓国政府は、HPSの導入により、2040年までに8ギガワット(GW)の水素発電普及量を達成し、今後20年間で25兆ウォン(約2兆3,250億円、1ウォン=約0.093円)の投資を創出する目標を掲げた。2021年までに「水素経済育成および水素安全管理に関する法律(以下、水素法)」を改正し、水素法上の水素基本計画における中長期普
脱炭素社会に向けて、スイスと日本のベンチャー企業が共同で、水素を動力源とする旅客船を、日本国内で運航させるプロジェクトに乗り出すことになりました。 プロジェクトに取り組むいずれもベンチャー企業で、船の開発を手がけるスイスの「アルマテック」と商船三井や三菱商事などが出資する「e5ラボ」は19日、都内にあるスイス大使館で覚書を交わしました。 「アルマテック」は、水素で発電する燃料電池を動力源として、二酸化炭素を排出しない旅客船の開発にあたります。 船体にはカーボンなどの軽い素材が使われ、速度が上がると船体がより浮かび上がってエネルギーの消費量を抑えられるということです。 ただ、一般的な船と比べて建造費が高くなるため「e5ラボ」が、国内の航路にこの船を導入する企業を探して仲介する役割を担います。 国土交通省によりますと、水素だけを動力源とする旅客船が国内で運航すれば、初めてだということです。 「
ほりうち・りょう/毎日新聞、静岡新聞を経て、17年より週刊ダイヤモンド記者。電力・ガス・石油業界担当。数字に強い記者になるべく、統計学を自習中。主な担当特集は「オーナー社長最強烈伝」「EVで過熱する新・新エネ戦争」など。趣味はゴルフ。痩せるために毎日1万歩を目標にしている。 1100兆円の水素バブル バックナンバー一覧 水素に窒素を加えて製造されるアンモニアを発電燃料として着目したのが、東京電力と中部電力の火力発電部門と燃料調達部門が統合した国内最大の発電事業者、ジェラである。特集『1100兆円の水素バブル』(全8回)の#5では、水素よりアンモニアが“本命”となる可能性を秘めている理由に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮) ジェラが掲げる火力発電の脱炭素化 目玉は水素ではなくアンモニア 菅義偉首相が2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言
中国の国有自動車大手の広州汽車集団(広汽集団)は6月26日、「水素エンジン」を搭載した乗用車の試作車を発表した。 同社製のミニバン「伝祺E9」のプラグインハイブリッド(PHV)バージョンをベースに、研究開発部門の広汽研究院が開発した水素エンジン・システムを搭載。走行時の水素消費量は100キロメートル当たり1.4キログラム未満で、1回の水素補充で600キロメートル近く走ることができる。 「自動車の動力源は急速かつ構造的な変化の最中にある。長期的には(再生可能エネルギーで作られる)グリーン電力と水素が主流になるだろう」。広汽研究院の院長補佐を務める祁宏鐘氏は、そう予想する。 とはいえ、乗用車での水素エネルギーの普及は、まだ相当先になりそうだ。「わが社としては、まず(乗用車ではなく)大型トラック向けの事業化を優先していく」。広汽集団の総経理(社長に相当)を務める馮興亜氏は、水素エンジンの発表会で
JR西は50年にグループ全体のCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、その達成に向けた取り組みとして両計画を推進する。 JR西日本は12日、水素で発電した電気で駆動し、二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料電池列車を2030年代に導入する計画を明らかにした。兵庫県内で自治体などと連携し、列車などに水素を供給できる「総合水素ステーション」の建設も進める。JR西は50年にグループ全体のCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、その達成に向けた取り組みとして両計画を推進する。 燃料電池列車は、車両に搭載されたタンクに水素を充填し、その水素を燃料電池に供給して空気中の酸素と化学反応を起こすことで発電し駆動する仕組み。 JR西は現在、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを搭載した列車を約450両保有しており、「これらを順次、燃料電池列車に置き換える」方針という。ディーゼル車両の多くは現在、地方
産業技術総合研究所が太陽電池として有望なCIS系材料を用いて高効率な水素生成に成功。これまで主に太陽電池として用いられてきたCIS系材料が、光電気化学セルによる水分解水素生成にも有望であることを示す成果であり、CIS系をはじめとする多元系化合物薄膜材料を用いた、新たなエネルギー変換技術への展開が期待されるとしている。 産業技術総合研究所は2022年8月2日、太陽電池として有望なCIS系材料を用いて高効率な水素生成に成功したと発表した。これまで主に太陽電池として用いられてきたCIS系材料が、光電気化学セルによる水分解水素生成にも有望であることを示す成果であり、CIS系をはじめとする多元系化合物薄膜材料を用いた、新たなエネルギー変換技術への展開が期待されるとしている。 太陽光などを利用した光電気化学的手法による水分解水素生成の普及に向けては、実現に必要な性能、安定性、コストなどの条件を満たす理
機械学習で高性能な磁気冷凍材料を発見、水素ガスの低価格化につながる可能性:材料開発(1/2 ページ) NIMSは機械学習を用いることで水素ガスの液化などに役立つ磁気冷凍材料の候補物質として二ホウ化ホルミウム(HoB▽▽2▽▽)を新たに発見したことを発表した。 物質・材料研究機構(NIMS)は2020年5月12日、AI(人工知能)技術の1つである機械学習を用いることで、二ホウ化ホルミウム(HoB2)が水素液化に用いる高性能の磁気冷凍材料になり得ることを発見したと発表した。 現在、温暖化がグローバルに進行する中で、燃焼時に二酸化炭素を発生させる化石燃料の代替エネルギーとして水素に注目が集まっている。水素は燃焼時に二酸化炭素を発生させずに熱エネルギーを生むため、環境負荷が低いとされている。ただ、水素ガスは気体状態では体積が大きく、そのままでは運搬や保存には不向きだ。そのため一度冷凍して液体化させ
水素をエネルギー源として活用する「水素社会」の実現に向け、ドイツの自動車メーカーBMWが開発中の水素で走る燃料電池車の実証実験が日本で初めて福岡市で行われました。 参加した報道陣が中央区の公道4キロあまりを試乗しました。 水素をエネルギー源として活用する「水素社会」の実現が待たれるなか、BMWはトヨタ自動車とモーターや水素タンクなど燃料電池車の技術を共同開発していて、ことし2月以降、世界中で実証実験を行っています。 一方、福岡市も水素を燃料とする給食配送車やゴミ収集車を導入するなどの取り組みを積極的に進めていて、今回、BMWとして日本で初めてとなる実証実験が福岡市で行われました。 体験試乗で得られた加速度や乗り心地など利用者の声を踏まえて製品開発を進め、2020年代後半での市場投入を目指すとしています。 「ビー・エム・ダブリュー株式会社」広報部の岡テオドーラさくらさんは「お客様のニーズに合
トヨタのウーブン・シティがついに今秋以降に動きはじめる。世界のEV市場が減速するなか、2024年も世界販売台数首位を守ったトヨタだが、ウーブン・シティや水素戦略をはじめとする脱炭素戦略の本意はどこにあるのか。トヨタ自動車の大塚友美CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)に話を聞いた。 ──ウーブン・シティの実証が秋以降にはじまります。トヨタがウーブン・シティを通して成し遂げたいことはどんなことでしょうか。また、優先事項の一つに掲げるサステナビリティとの関わりについても教えてください。 ウーブン・シティは「モビリティのためのテストコース」です。ヒト、モノ、情報、エネルギーのモビリティに関する課題の解決策など、世の中のサステナビリティに資する技術やサービスの開発をするといった新しい価値を創出できる場所にしていこうと思っています。 たとえば、水素については現在、モータースポーツの現場で水素
脱炭素の解決策としてこれまでも水素は注目されてきましたが、本格的な実装にはいたっていません。活用への課題、そして最新の研究開発とは。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。 ・脱炭素化の解決策として再び注目が集まっている水素ですが、その活用に伴う根本的課題には、いまだ解決されていないものがあります。 ・これらの根本的課題は、20年前にも水素のハイプサイクルの妨げとなり、それ以降水素ブームは鳴りを潜めてきました。 ・いま、水素に期待が置かれている理由とは? 2020年、水素は、ゼロエミッションを達成するための極めて優れた燃料として大きな復活を遂げました。電化が難しいさまざまな経済分野の脱炭素化も、水素であれば実現できるかもしれないという期待が高まっています。欧州の新型コロナウイルス・グリーン・リカバリーの経済対策や、ジョー・バイデン氏のクリーンエネルギー計画においても、再生可能エネル
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