国家公務員が政党ビラを配ったという「堀越事件」については、今年1月のブログでも触れましたが、東京地裁は去る6月29日に、罰金10万円執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました。法廷で意見を述べた私としては、早速反応すべきところでしたが、私事にまぎれて時期が遅れ、最近ようやく判決の全文を読んで、検討を開始しました。 判決当時の新聞の社説にも、「釈然とせぬ公務員の有罪」(朝日)、「自由が萎縮せぬように」(東京)といった疑問や危惧が出され、学者の解説にも批判的な論調が支配的でした。上記の社説によりますと、これはほとんど無罪に近い異例の判決で、裁判官が判断に悩んだ跡がうかがわれるが、しかし有罪は有罪であって、警察の捜査も検察の起訴も、お墨付きをもらったことになり、こうした判決で、言論の自由が狭まり、公務員が萎縮するのではないかと心配だというのです。 私も、このような評価におおむね賛成ですが、むしろ問題