ワタミフードサービスが二〇〇九年以降、経営する居酒屋などで、時間外労働・休日労働に関する協定(三六(さぶろく)協定)に定められた時間外労働の上限時間を超えて従業員を働かせていたとして、労働基準監督署から十件の是正勧告を受けていたことが、会社側への取材で分かった。〇八年六月に新入社員の森美菜さん=当時(26)=が過労自殺した後も長時間労働が残っている実態が明らかになった。
ワタミフードサービスが二〇〇九年以降、経営する居酒屋などで、時間外労働・休日労働に関する協定(三六(さぶろく)協定)に定められた時間外労働の上限時間を超えて従業員を働かせていたとして、労働基準監督署から十件の是正勧告を受けていたことが、会社側への取材で分かった。〇八年六月に新入社員の森美菜さん=当時(26)=が過労自殺した後も長時間労働が残っている実態が明らかになった。
あらかじめ時間外労働の上限時間が書き込まれた三六協定届に、店長の指示でアルバイトが署名する-。新入社員森美菜さんが過労自殺したワタミフードサービスでは、違法な手続きで、従業員に時間外労働させていた。会社から一方的に提示された労働条件を、受け入れるしかない従業員。労使対等とは名ばかりの実態が浮き彫りになった。 (中沢誠、皆川剛) 森さんが働いていた「和民京急久里浜駅前店」(神奈川県横須賀市)。この店の三六協定届には、労使協定を結ぶ労働者側の代表は、「挙手による選出」と印字されていた。しかし、男性アルバイトは「協定届を見たことはないし、挙手で代表を選んだこともない」と打ち明ける。
居酒屋チェーンを展開するワタミフードサービス(東京)に入社二カ月後に自殺した森美菜さん=当時(26)=が、長時間労働などを理由に過労死と認定された問題で、同社が労働基準法で定められた労使間の手続きを踏まず、従業員に時間外労働をさせていたことが、会社側への取材で分かった。手続きが形骸化すれば、経営者側の思うままに従業員側に長時間労働を強いることも可能だ。同様の違反はほかの企業でもみられ、専門家は「適正な手続きが担保されないと、過労死を助長しかねない」と警鐘を鳴らす。 この手続きは「時間外労働・休日労働に関する協定(三六(さぶろく)協定)」。厚生労働省労働基準局監督課は、ワタミフードサービスについて「適正なやり方とは言えず、労基法に抵触する」と指摘している。 労基法上、時間外労働は禁じられているが、労使間で三六協定を結べば認められる。三六協定を結ぶには、経営者側は店や工場ごとに労働組合もしく
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