福次郎さんの後を継いだ樽見博編集長(右)と折付桂子さんが、膨大な資料に囲まれながら誌面づくりを続ける=東京都千代田区神田小川町3 東京・神田神保町で古書を扱う八木書店(千代田区)。創業者の八木敏夫さん(兵庫県明石市出身、1908~99年)の弟、福次郎さんは「神保町の生き字引」と呼ばれた。経営手腕を発揮した兄とは違い、趣味の人。兄が起こした古書業界の動きを伝える月刊誌「日本古書通信」の編集を70年以上続けた「名物編集長」だった。 日本古書通信の創刊は1934年1月1日。創刊部数は千部。古書市場の相場速報などを掲載した。36年、業界組合から相場公表を禁じられたため、一般の愛好家向けに衣替えした。太平洋戦争中に雑誌統合の流れを受けて「読書と文献」と改題。戦争末期に休刊に追い込まれたが戦後、元の名前で復刊した。福次郎さんは、通算1000号を迎える9カ月前、2012年2月に96歳で逝った。本を愛し、