この年度末に、ベトナムの首都ハノイへ発った。海外旅行は、まず国内の時点で、羽田ならともかく成田までの道程が遠い。特急なのに途中、事故で止まってしまい、1日に1本しかない中国行きの便に乗り遅れさせられたこともある成田エクスプレスは、今回はこの大災害に伴う計画停電の影響で運休したままであるなど、もろもろ心配や不安をかかえた出発だった。 ハノイ(Hà Nội)は漢字では「河内」と書く。河内と書いても無論、大阪府の「かわち」ではなく、「城舗河内」のほうだ(この4字の漢字列が何やらかっこいい)。カタカナで「ハノイ」、ローマ字で「Hanoi」と書くのとはだいぶ印象が異なるが、かつてのベトナムでは地図でもそう記されており、今でも中国語圏ではそれで通用している。旧名はタンロン、漢字では「昇龍」だ。中華料理店の名前にもありがちだが、この「皇城昇龍」は、11世紀初めに、約1000年間の悲願であった中国からの独