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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (16)

  • 徹夜小説『ウォッチメイカー』

    「屈辱」というゲームがある。好きが集まって、未読のを次々を告白するゲームだ。 大事なのは、「みんなが読んでるのに、自分だけ読んでいない」作品だと、ポイントが高いところ。つまり、読んでて当然のを読んでないと告白する「屈辱」を味わうゲームなのだ。 この「屈辱」を、ミステリ好きの読書会でやったことがある。わたしが、「ジェフリー・ディーヴァーは一冊も読んでないんですよね」とつぶやいたところ、そこに居た全員(?)から、哀れむような目で見つめられた。そんな悲しい目で見なくても……と言ったら、「羨ましいんだよ!」と全員(!)からツッコミを受けた。 ジェフリー・ディーヴァーを読んでいないミステリ好きは、「ミステリ好き」と名乗る資格があるかどうかは別として、幸せものらしい。なぜなら、これから絶対に面白いにどっぷりとハマれることが保証されているから。 そこで議論が百出する。やれ『魔術師(イリュージョニ

    徹夜小説『ウォッチメイカー』
  • 『市民のための世界史』はスゴ本

    知りたいことをネットで質問するのに、うまい方法がある。 初心者は、「○○について教えてください」と尋ねる。すると、Wikipediaのコピペを掴まされた挙句、「ちなみに旦那の年収は一千万円です」と聞かされるハメになる。上手な人は「教えてください」なんて下手に出ない。では、どうするか? 知りたいことについて分かってる限り、ドヤ顔で語り出すのだ。すると、その道の通たちが、寄ってたかって指摘してくれる。このブログで有難いのは、そうした専門家からツッコミをいただけるところ。 今回は、宮崎市定『アジア史外観』のレビューの反応から、『市民のための世界史』という素晴らしいをご紹介いただいた(稲田さん、ありがとうございます)。これは、タイトルさえ知っていれば検索できるが、どういう目的で、何を条件にすればヒットするかは、絶対に分からない。「わたしが知らないスゴ」は、読んだ誰かに教えてもらう外はない。「世

    『市民のための世界史』はスゴ本
  • デザインの科学『インタフェースデザインの心理学』

    「ファミコン『ドラゴンクエストIV』のパッケージイラストの主役が、一番小さく描かれているのに、最初に目に入ってくるのはなぜか」 これについて、中村佑介氏の解説が目鱗だ→【イラストの見栄えが良くなる】中村佑介先生の公開講座が凄い!。来は目立たせたいもの(主役)を大きく描くのが原則だが、彩度とコントラストを増やすことで、見やすい画面作りをしているという。 だが、もう一つ、このデザインには「主役」を主役たらしめるテクニックがある。それは以下の通り。 1. 人は、人の顔に一番興味を持つ 2. 人は、画面の中で、顔を最初に見る 3. 人は、画面の顔の視線の先に注意を向ける この原則を知ったのが、書だ。人はどのように認知し、判断し、行動し、そしてエラーを引き起こすのかについて、ウェブやアプリのデザイナー向けに、「100の指針」という形でまとめたもの。 「嘘のレベルは伝達手段で変わる」や、「読むと理

    デザインの科学『インタフェースデザインの心理学』
    satoschi
    satoschi 2014/03/20
  • 大学教師が新入生にすすめる100冊

    恒例の100冊リスト。 ただし、これまでの趣向を外した。「ベスト100ランキング」は楽しいが、変わりばえしない。毎年似たような「ベスト100」をヒネり出すのも飽きた。ホントのところ、「大学新入生」と銘打っているものの、わたしのためのブックリストなのだ。読んできたやつ、未読のやつ、読みたいやつを抽出したりふり返るためのきっかけなのだから。 だから、今回はランキングをしない。母体のリストは、「大学教師が新入生にオススメする」なんだけれど、そこからの選出はわたしの手になるもの。今までのリスト作成の過程で知り合えたものや、「読まねばリスト」に追加したもの。積読山に刺さったまま、課題と化しているものを中心に100挙げた。 もちろんこの100冊を参考にしてもいいし、母体リストから自分専用の一覧を作ってもいい。母体のリストは三千弱になるが、元となったのは、以下のリスト。ブックガイドは多々あるが、「大学

    大学教師が新入生にすすめる100冊
    satoschi
    satoschi 2012/01/31
    何冊かだけ読んでるが、読んだ本は確かに目からウロコだったので、ダマされて読め、そしてオレも残りを読む。
  • スゴ本オフ@松丸本舗(読まずに死ねるかッ編)

    よのなか買い占めがトレンドなので、を買い占めてきた。 それも、「読まずにゃ死ねない」ブツをガツガツ買ってきた。しかも、孤独なマタギの単独行ではなく、好きが集まってグループ・ハンティングだ。互いが互いにオススメしあい、いつもなら敬遠してたものも、オススメ上手な皆さんの言にほだされて「この際だから…」と、じゃんじゃんカゴへ。 まずは、わたしの収穫。ウンベルト・エーコ「美の歴史」とジョーゼフ・キャンベル「千の顔をもつ英雄」、トニ・モリスン「ビラヴド」は予定通りだが、カサーレス「モレルの発明」、萩尾望都「半神」は完全に知らなかった→ハンターたちの「コレはスゴいぞ!」に押されてバスケットへ。吉田秋生「海街diary」は、前回の屋オフでも猛プッシュされたよなぁ……と押し倒される。ほら、あれだ何度も誘惑されると、ついフラフラッとなってしまうもの。もちろん「海街」は大期待を裏切らないだろうが、未完に

    スゴ本オフ@松丸本舗(読まずに死ねるかッ編)
  • 「メイスン&ディクスン」はスゴ本

    もちろん「V.」も「重力の虹」も持ってる。けど「持ってる」だけで、読み終えたためしがない。イメージの濁流に呑み込まれて読書どころでなくなる。注釈と二重解釈と地文と話者の逆転とクローズアップとフラッシュバックと主客の跳躍に翻弄され、読書不能。まれに、「読んだ」「面白かった」という方がいらっしゃるが、どうやって【読んだ】のだろうあやかりたい頭借りたい。過日、ようやく河出書房の世界文学全集の「ヴァインランド」をくぐりぬけたのだが、読書というより酔書でフラフラとなった。 で今回、辞書並み(しかも2冊)の「メイスン&ディクスン」は、ドーパミンあふれまくる読書と相成った。小説的瞬間とでも名付たくなる、小説内時空間のどこにでも言及され・見渡され・語られている、代えるものがない強烈な感覚に浸る。酒みたいなものだ、酔いたいから呑むのであって、結果、酔うから楽しいとは限らない。もちろん微酔の楽しみもある一方、

    「メイスン&ディクスン」はスゴ本
    satoschi
    satoschi 2010/09/28
    読んでると方向感覚が亡くなる。故に読解は未だ道半ば。読了した人スゴい。訳者はもっとスゴい。
  • amazonより書店、書店より図書館の方が優れているもの

    それはへのアクセシビリティ。を手にするハードルを低い順に並べると、次の通り。 1. 図書館 2. 書店 3. amazon 図書館がいちばん簡単だ。そこに実物があるし、興味があれば手にとって傍らの椅子に座って読めばいい。時間がなければ片端から借り出してしまえばいい。コストゼロで、「そのに集中する時間」が、純粋に投資となる。どんなが読まれているかは、張り紙や図書館のウェブサイトで確認できる。そこで、流行りのベストセラーとは別に、長く読まれている隠れた名著を見つけるかもしれない。 次は書店。「フリー戦略」なんてカコイイ用語があるみたいだが、あにはからんや、屋は昔から実戦してきたよね、「立ち読み」で。小奇麗にパッキングして、試し読みも置かないような屋は、その戦略を捨てているといえる。ただし、誘惑に気をつけなければならない。「レジに持っていくまで騙せたら勝ち」なんてやつだ。Popやレイ

    amazonより書店、書店より図書館の方が優れているもの
    satoschi
    satoschi 2010/07/15
    新刊情報をまとめているサイトなどの紹介。
  • これからの本のつくりかた「デザインの現場」

    これからの「」について、ユニークな視点が得られる。 「が売れない」といわれるいま、普通の流通とは別のところで広がっている試みがある。いわゆる、出版社や取次や書店を介したシステムにビルトインされた方法ではなく、個人が嗜好の延長上で実現させる形態なんだ――それは「」というよりも、「パーソナルメディア」というべきかも。 発想が面白いなー、と思ったのは、藤やすし[Cap]。 「出版とは、新しいセルフブランディングのシステム」という視点は、これまでと逆転していていい。プレゼンスやブランドを高めるための出版活動なので、「」を出すのは従になる。だから、「なにをブランドとするのか?」をまず考えるんだ。今までの、「というパッケージに何を詰め込んで、世間サマにプレゼンテーションする?」という固定観念が溶けていくぞ。 物理的な「」なのだから、もっとフェティッシュに走ってもいいのかも、と感じたのは、

    これからの本のつくりかた「デザインの現場」
  • スゴ本100

    いつのまにか1000エントリ超えてたので、ここらで100に絞ってみる。 このblogで「スゴ」認定されたもの、企画「この○○がスゴい」で挙げられたものを、100にまとめてご紹介。順序適当、偏見なし、ビジネス、サイエンス、エロマンガ。ブンガク、ビジュアル、なんでもアリ、啓蒙、アダルト、劇薬なんでもござれ。「ノンフィクション」、「フィクション」、そして「劇薬系・成人指定」の三立てでご紹介。番号は便宜上つけたものなので、ランキングにあらず。 こんなにスゴいに出合えたのは、すべてあなたのおかげ。いいはたくさんあるのだが、全部読んでるヒマもないし、探している時間も足りない。だからわたしは、スゴいを読んでいる「あなた」を探す。あるいはこのblogにやってきた「あなた」の言を待つ。そうしたツッコミやアドバイスをいただき、とても感謝しています。 この100リスト全て鉄板モノだが、「それをスゴ

    スゴ本100
  • この本がスゴい2008

    今年もよい出会いがあり、それはあなたのおかげ、とても感謝しています。 ここでいう「あなた」とは、親切にもコメント欄よりオススメいただいたアナタだけでなく、某所で罵倒しまくってたキミも含まれる。なぜなら、「○○がスゴいんだってーフフン、じゃぁ△△読んでないだろ」なーんて教えてくれたから。 ありがたいのはまさにソレ、「そんならコレを読め」と言ってくれる方は、○○も△△も読んでる。わたしが知らない△△を、わたしが読んだ○○から教えてくれるのだから、これほど有益なものはない。 わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる所以はここにある。反面、これができずに唯我独尊を貫くと、非常に限定された世界の読書王となる。なまじ蓄積があるだけに、外からのアドバイスが受け入れられず、読書はすべて自意識の確認作業となる。気の毒だけど、よい反面教師だ。この道は、いつかきた道。わたし自身が陥らないよう、用心用心

    この本がスゴい2008
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊

    毎年この時期になると、「東大教師が新入生にオススメするベスト100」という企画で紹介してきたが、飽きた。 ほとんど変わり映えしないリストにも飽きたし、毎年「ベスト1はカラマーゾフ!」とハヤすのも飽きた。カラ兄が最高であることはさんざん宣伝してきたから、皆さんご承知だろう(異論・反論大歓迎、これを超えるものがあるならね)。 だから、今回はスコープを広げてみる。 ■ この企画の趣旨 東京大学に限らず、新入生を迎えるにあたって、センセイたちは思うところがある(はずだ)。ゼミにくる前に、せめてこれぐらいは読んでおいてもらいたいと望んだり、若かりしころハマったで自分語りをしてみたり。そうした願望を吸い上げているところもいくつか見つけた。以下のとおり。 リスト1 「北海道大学教員による新入生への推薦図書」 リスト2 「京都大学新入生に勧める50冊の」 リスト3 「広島大学新入生に薦める101冊」

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊
  • なぜ日本の鉄道は世界で一番正確なのか?「定刻発車」

    そもそも、なぜ日の社会は鉄道に正確さを求めるのか? そして鉄道人たちは、どのようにして世界一の正確さを実現させているのか? 「定刻発車」をアタリマエとする文化とそれを支える巨大システムについて、真っ向から取り組んでいる。 切り口が非常に面白い。鉄道サービスのサプライヤ側の技術紹介に閉じておらず、歴史や地勢、文化の面からの目配りも効いている。定刻発車がなぜアタリマエなのか? といった根源的な問いは、鉄道という枠を越えて日社会論まで踏み出している。 まず、「定刻発車」の源は江戸時代までさかのぼる。不定時法とはいえ全国規模の時報システムを持ち、「一刻」とか「半刻」とかいう時間感覚を持っていたことは大きい。あの頃から時刻に敏感な国民性だったんだね。 さらに、参勤交代制が日の「駅」のありようを決めたという。人が一日で歩ける距離をベースに「駅」の間隔は決められ、日の都市は鈴なりになって発展する

    なぜ日本の鉄道は世界で一番正確なのか?「定刻発車」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: これから読む徹夜小説

    はてな「徹夜するほど面白かった小説を教えてください」[参照]のエントリからピックアップして、一作家一作品でリスティング。続けて読むと睡眠時間がゼロになってしまい、生活に支障をきたす(かもしれない)ので注意しながら読むつもり。 た・の・し・み ~ (^^ アドバイスいただいた皆さまに大感謝。はてなポイントじゃ足りないぐらい ■これから読む徹夜小説 永遠の仔(天童荒太) 第六大陸(小川 一水) ガダラの豚(中島らも) 傭兵ピエール(佐藤賢一) ゼウスガーデン衰亡史(小林恭二) 魔術師(J.ファウルズ) 北壁の死闘(ボブ・ラングレー) イヤー・オブ・ミート(ルース.L.オゼキ) スワン・ソング(ロバート.R.マキャモン) シャドウ・ダイバー(ロバート・カーソン) カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー)米川正夫訳 /岩波文庫版 ■徹夜を覚悟・徹夜した小説 火車(宮部みゆき)某弁護士事務所では、新人

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  • 「アラビアの夜の種族」はスゴ本 【徹夜保証】

    面白い物語を読みたい? ならこれを読めッ!! 完全にヤられた。憑かれたように読む、読む、読む。巻措く能わぬ面白さではなく、手に張り付いて離れないモノスゴさ。小説で徹夜するなんて、久しぶりだ。徹夜小説シリーズ([スゴ]と[はてな])で太鼓判押されてたけど、ここまでスゴいとは… 抜群の構成力、絶妙な語り口、そして二重底、三重底の物語。 これは、陰謀と冒険と魔術と戦争と恋と情交と迷宮と血潮と邪教と通と書痴と閉鎖空間とスタンド使いの話で、千夜一夜とハムナプトラとウィザードリィとネバーエンティングストーリーを足して2乗したぐらいの面白さ。そして、最後の、ホントに最後のページを読み終わって――――――驚け! ただし、ネットで調べてはいけない。うんこがバラしているぞ。面白い物語を読みたいのなら、予備知識を一切絶って読むべし(まちがいないから)。それから、文庫版の3分冊で取り組むなら、3巻全部を確保し

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  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: この本がスゴい2007

    今年「も」沢山のスゴと会えたのは、すべてあなたのおかげ。 ありがとうございます、大感謝しています。 たとえば、「このよかった」とblogに書く すると、「ソレが良いなら、じゃぁ○○なんて、どう?」と教えてくれる じゃぁ、○○を読む なんと、す、スゲぇッ(絶叫) いそいで、「○○はスゴ」とblogに書く ふたたび、「ソレが良いなら△△どうよ?」 このフィードバックループのおかげで、普段は読まないエリアまで手が伸びる伸びる。 もちろん嗜好の違いによる「ズレ」はあれど、それは単に「面白がって読めなかった」にすぎない。むしろ、そいつを味わうためのキャパ不足を痛感しただけでもめっけもの。そのを面白がって読むことはスキルの一つ。 気の毒なことに、「トシとると面白いがなくなる」とグチるオッサンがいる。知見の狭さや思考の固さよりも、無自覚な様子が傍目に痛い。ああはなりたくないものだ。「ボクの範囲

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  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大教師が新入生にすすめる100冊

    昨年の「東大教官がすすめる100冊」の2007年版。企画の趣旨は以下のとおり。 ■企画「東大教師が新入生にすすめる100冊」の趣旨 東大教師が選んだ新入生向けのブックリストとして、新書「東大教官が新入生すすめる」と、紀伊國屋書店のサイト[参照]がある。全部で2100冊程と膨大なので、まとめる。まとめるだけでは面白くないので、100冊に絞ってランキングする。 新書もサイトも、「ただ並べてあるだけ」なので非常に見づらい。さらに、くりかえしオススメされるの「重み」が見えないため、以下の基準で編集→ランキングする。 年を越えてオススメされるは、それぞれ1票としてカウント 複数の教官にオススメされるは、それぞれ1票としてカウント 全集・分冊は丸めて1冊にした。ただし、全集の中の特定巻を指してある場合は「ソコを読め」というメッセージなので別枠とした 参照元では「文系」「理系」と分けているが、混

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