本が手書き一点物だった時代の書籍文化誌 材料の調達から作品の政治的意味までを語る 写本製作にあたり注文主が、作者が、書記が、各種職人が果たした役割や、できあがった写本がもった政治的意味、さらに傑作「マネッセ写本」を生み出した文芸マネージメントまで、写本をめぐる文化活動をわかりやすく解説する。 巻物から冊子体のいわゆる写本へ主流が移ったヨーロッパ中世の始まり、それはデジタル時代・活字印刷の誕生と並ぶメディアの革新、つまり口述から書記への転換の始まりでもあった。本書は、物としての写本の材料と作られ方、製作にかかわった注文主・詩人や知識人・修道士や職業書記らの実態から、手にした人が本をどう読んだか、本と書かれたテキストの双方がもった政治的役割まで、当時の社会における本と、本をめぐる文化・社会的状況を、さまざまな角度から解説する。 なかでも、一種の文芸マネージメントから生まれた傑作・マネッセ写本に
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