新型コロナウイルス感染が広がりを見せる中、ホテル業界の現状は厳しい。宿泊予約サイトでは一部のホテルの室料はかなりの下落を起こしているし、多くの人が行き交うその性質上、忌避の対象となり、宿泊客は激減している。一方で、“個室提供”というホテル特有の機能が見直され、軽症者受け入れの役割を担う感染症対策の施設としてもあらためて注目を集めることになった。厳しい業界に光明が差したように見えたものの、感染者の受け入れは、有償/無償という点でも議論を呼び、中小の独立系ホテルの現場では、困惑の声も上がり始めている。 怨嗟の声が上がったホテルの「無償提供」先陣を切って名前の出た「アパホテル」(著者撮影)楽天の三木谷浩史氏が自身で保有する大阪市内のホテルの無償提供を大阪府へ申し出たことが大きなニュースとなった。三木谷氏の申し出に対し吉村大阪府知事は自身のツイッターで「運営マニュアルに基づき一定の宿泊業務をお願い