SF作家であり『天地明察』で脚光を浴びた 「沖方丁」が「ものの数え方」について書いている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 子どもたちから 新鮮なものの見方を味わうことが しばしばである。子供は質問が多い。 「なんで動物は一匹二匹っていうの?一個じゃダメなの?」 「馬は一頭、魚は一尾、鳥は一羽、なんでそう言うの?」。 「なんでだろうね」 「食べた後、飾るからかなぁ」 「尻尾や羽を?」 「うん」 意表を突かれた。 確かに「頭」も「尾」も「羽」も、食べ残る部分。 死んだ後も残る部分だ。蟹は一杯、二杯。「杯」は 蟹の甲羅のことでもある。蹄(ひづめ)のある馬は 「一蹄(てい)」と数えることもあった。 では人は? ふと、考えた。命を終えてなお残るものは・・・・。 「名」だ。「一名、二名・・・・」。 人だけの数え方だ。そう気づき、まだ幼い子