インターネット通販の急増で配送や人材確保の負担が増すなか、宅配各社が対応に迫られている。 宅配便最大手のヤマト運輸は、今秋にも、個人を含めた荷物の宅配料金を全面的に値上げする方針を明らかにした。消費増税時を除くと1990年以来、27年ぶりだ。3位の日本郵便も、アマゾンジャパンなどのインターネット通販大手に対し、宅配料金の値上げを要請する検討に入った。 ヤマトは今秋にも、個人が荷物を配送する際の「基本運賃」を引き上げる。発送地と届け先、サイズによって異なり、関東から関西に箱の3辺の長さが計60センチ・メートル以内の荷物を送付する場合は864円だ。値上げ幅は今後、詰める。法人向け運賃についても、大口顧客と値上げ交渉に入った。
ヤマト運輸が宅配便運賃の全面値上げの検討に入ったことは、サービス拡大を続けてきた宅配便のビジネスモデルが限界に達している実情を浮き彫りにした。インターネット通信販売の拡大による荷物個数や再配達の増加は、現場の労働環境悪化だけでなく企業業績にも影を落とす。値上げは不可避の情勢で、個人消費の一形態として急成長してきたネット通販市場のあり方も問われる。 ■配送数増でも利益減 「配送の合間には休憩がほとんどとれず、昼食はトラックの中でチョコレートを口にする程度」 ヤマトでドライバーをしていた元従業員の男性は、疲弊する現場の実態をもらす。値上げの検討に踏み切った背景には、こうした労働環境の悪化がある。 ヤマトは平成25年に通販大手アマゾンの配送を請け負うようになってから「体感で荷物が2〜3割は増えた」(同)とされ、平成28年4月〜29年2月における宅配便の取扱個数は前年同期比8%増の約17億1226
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