「私を置いて、仕事にいくの?」 (3年前、がんのため60歳で亡くなった母の言葉) 「私を置いて、仕事にいくの?」 がんで日に日にやせ細り、次々と出来ないことが増えていく母が、仕事に向かう私にそう言いました。 私は心が張り裂けそうになりました。この言葉は私の言葉だったから。 母は、私が幼い頃に離婚し、女手ひとつで私を育てあげました。 「私を置いて、仕事にいくの?」。この言葉は、私が幼かった頃、高熱で寝込んでいた時、仕事へ向かう母の背中にかけた私の言葉でした。 幼い私にもわかっていました。母が仕事にいくのは私のためで、仕方ないことだと。でも、ほんの少しでいいから、構って欲しかった。いえ、振り向いて視線を向けてくれるだけでも。それだけでも良かったんです。 そんな私に母がくれたものは、平手打ち。それから暴言でした。幼い頃の私にとって母の暴力は日常の一部で、物を投げられたり、包丁を突きつけられたりす
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