緊急事態宣言を解除したのに続き、政府は19日、都道府県をまたぐ移動の自粛要請も緩和した。爆発的な感染拡大は確かに免れたが、何が原因だったかは判然としない。やがて来る第2波を前に、最前線を担った専門家たちはどう動いたのか。 当事者への取材から浮かび上がるのは、「科学と政治」の境界線のどこに位置を取るのかをめぐって、専門家たちが内面に抱え込んだ葛藤や、専門家同士の衝突という知られざる事実だった。 2つの会議室に詰めた“クラスター対策班” 5月下旬まで、日比谷公園に面した中央合同庁舎5号館の11階と12階に、それぞれ30坪足らずの2つの会議室が厚労省クラスター対策班の詰め所となっていた。疫学解析で戦略を担う、東北大学大学院教授の押谷仁が率いる東北大学・新潟大学・長崎大学などの混成グループと、数理モデルによるデータ解析を担う、西浦博の北海道大学のグループがそれぞれ陣取り、合わせると30人ほどのチー
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