連載 The future belongs to analogue loyalists スティーヴ・アルビニに捧げるメモワール Vol.2 翌1992年の2月19日、僕は東京《中野サンプラザ》の前に立っていた。その日はニルヴァーナの来日公演だったのだが、ライヴを観るためではなく、スティーヴ・アルビニ来日公演のチラシを撒くためにである。その時、誰とチラシを配ったのか記憶が定かではないのだが、ライヴは観ずに終演時間の頃合いを見計らって、ゾロゾロと中野サンプラザから出てくるお客さん相手に、チラシを一枚一枚配ったのを憶えている。コンサートを見た知り合いに会うと、「アンコールが“Smells Like Teen Spirit”でしたよ」「え? そうなんや」なんて会話をしたりしていた。 翌3月にスティーヴは初めて日本にやってきた。恐らく前年のスティーヴとZENI GEVAの初邂逅以降に計画されていたの