〈点〉から〈線〉や〈面〉の表現へ──常に発明的なサウンドを発信してきた音楽家が、11年をかけて熟成させたメロウなムード。そこには腐食による美にも通じる深い情感が宿っていて…… 残ったものはメロウネス エディットした音を一音ずつ配置した規則的なパターンを複数組み合わせ、その一致とズレがメロディーと一体になったポリリズミックなグルーヴやトリップ感を生み出してきたCorneliusこと小山田圭吾。サウンドデザインとコンポジションが一体となって紡ぎ出される、世界に二つとないシグネイチャー・サウンドは世紀の大発明と呼ばれるべきものだ。しかし、そのサウンドがあまりに画期的だったがゆえに、さらなる進化を果たしたニュー・アルバム『Mellow Waves』の完成までには、前作『SENSUOUS』(2006年)から11年に及ぶ途方もない歳月が必要だったのだろう。 「今回のアルバムのファイルを確認したら、一番