日本近代建築の礎を作った辰野金吾(一八五四~一九一九)が設計した東京駅のドーム天井に、八種しかなく謎だった干支(えと)のレリーフ(彫り細工)を、佐賀県の国重要文化財「武雄(たけお)温泉楼門(ろうもん)」にある四種の干支が補う存在である可能性が浮上した。東京駅と辰野の故郷にある楼門で十二支がそろうため、「辰野の遊び心かも」と指摘する声もある。 東京駅丸の内駅舎の北口と南口の八角形の天井近くには、それぞれ方角を示す八種の干支が施されている。東西南北に位置する子(ね)、卯(う)、午(うま)、酉(とり)は、ない。八種の干支は駅舎が創建された一九一四(大正三)年からあったが、空襲で屋根ごと焼失。昨秋終わった駅舎復元工事で、白黒写真をもとに再現した。 JR東日本東京支社によると、駅舎に四種の干支がない理由は、当時の資料や記録がなく謎だった。欠けた干支が気になった丸の内駅舎にある東京ステーションホテル社