<中東ではISISの存在が次第に小さくなっているが、イラクでは対ISISでまとまっていたたがが外れて、各政党の勢力関係はますます複雑になっている> イラクがモースルのIS(イスラーム国)からの解放を宣言して、1か月半経った。これでISも終わりだ、というムードが漂うなか、果たして「ISの終焉=中東が安定」となるのだろうか。 イラクに関してみれば、逆だといえるだろう。この1か月の間、驚くような新展開が続いているからだ。まず第一に、7月24日、有力シーア派イスラーム主義政党であるイラク・イスラーム最高評議会(ISCI)の党首で現イラク与党連合「国民同盟」の長のアンマール・ハキームが、突然ISCIを辞め、新しい政党を作った。第二に、7月30日、シーア派のなかでも貧困層、若年層を中心に圧倒的な人気を誇ってきた暴れん坊、ムクタダ・サドルが11年振りにサウディアラビアを訪問した。 いったい何が起きている