いやはや、痛快痛快。 読んでいて思わずひざを打ちたくなる本というのは、めったにお目にかかれるものではない。私が去年のベスト3にあげた『雇用大崩壊』『脱貧困の経済学』『日本銀行は信用できるか』はどれもそんな快著だった(ここを参照)。上念司氏の処女作である本書も、すばらしい「ひざ打ち本」だ。 『デフレと円高の何が「悪」か』は、ズバリ書名のとおり、デフレと円高が経済にどんな悪影響をもたらすのかを、本格的な経済学の知識がない人でも理解できるように説明してくれる。文章は読みやすい。ユーモアも皮肉も利いている。なにより、マクロ経済というのは自然現象などではなく、政策担当者のふるまいによって改善できるんだという力強いメッセージが、あふれんばかりに伝わってくる。そう、「やればできる」のだ。本書はそんなデフレファイター上念司氏による、宣戦布告の狼煙である。 さて、円高の害はわりとわかりやすいし、合意も得られ
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