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人名用漢字に関するworks014のブックマーク (211)

  • 第142回 「和」と「咊」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「和」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「咊」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。「和」は出生届に書いてOKですが、「咊」はダメ。どうしてこんなことになったのでしょう。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、口部に新字の「和」が収録されていました。新字の「和」が収録されていたのは、禾部ではなく口部で、その一方、旧字の「咊」は標準漢字表には含まれていませんでした。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、そこでも新字の「和」だけが含まれていて、旧字の「咊」は含まれていませんでした。 昭和21年4月27日、国語審議会に提出された常用漢字表1295字には、口部に新字の「和」が含まれていて、旧字の「咊」は含まれていませんでした。国

  • 第131回 「戸」と「戶」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「戸」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「戶」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。でも実は、旧字の「戶」が、子供の名づけに使えた時期もあったのです。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されており、戶部に、旧字の「戶」が含まれていました。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、 そこでも旧字の「戶」が収録されていました。 昭和21年11月5日、国語審議会が答申した当用漢字表にも、旧字の「戶」が収録されていました。翌週11月16日に当用漢字表は内閣告示され、旧字の「戶」は当用漢字になりました。ただし、当用漢字表のまえがきには「字体と音訓の整理については、調査中である」と書かれていました。当用漢

  • 第129回 「仐」と「傘」と「繖」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「仐」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。旧字の「繖」も、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。こんな妙なことになってしまった原因は、俗字の「傘」が常用漢字になってしまったからなのです。なお、新字の「仐」と俗字の「傘」は、いわゆる象形文字ですが、旧字の「繖」は、サンという音を「散」で表した形声文字だと考えられます。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されていました。標準漢字表の人部には「傘」が含まれていて、その直後に、カッコ書きで「仐」が添えられていました。「傘(仐)」となっていたわけです。簡易字体の「仐」は、「傘」の代わりに使っても差し支えない字、ということになっていました。一方、旧字の「繖」は

  • 第126回 「宝」と「寶」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「宝」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「寶」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。「宝」と「寶」の間には、「寳」や「寚」のような俗字があるのですが、これらの俗字も子供の名づけに使えません。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されていました。標準漢字表の宀部には「寶」が含まれていて、その直後に、カッコ書きで「宝」が添えられていました。「寶(宝)」となっていたわけです。簡易字体の「宝」は、「寶」の代わりに使っても差し支えない字、ということになっていました。 昭和21年11月5日、国語審議会が答申した当用漢字表では、宀部に「宝」が含まれていて、その直後に、カッコ書きで「寶」が添えられていました。「宝(寶)」となっ

    第126回 「宝」と「寶」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第121回 「舗」と「舖」と「鋪」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「舗」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「鋪」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。ただ、「舗」と「鋪」の間には、俗字の「舖」があって、これが話をややこしくしているのです。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されており、金部に、旧字の「鋪」が含まれていました。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、 そこでも旧字の「鋪」が収録されていました。 ところが、昭和21年11月5日に国語審議会が答申した当用漢字表では、舌部に俗字の「舖」が収録されていて、旧字の「鋪」はどこにも収録されていませんでした。翌週11月16日に当用漢字表は内閣告示され、俗字の「舖」は当用漢字になりました。ただし、当用漢字表の

    第121回 「舗」と「舖」と「鋪」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第119回 「頼」と「賴」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されており、貝部に、旧字の「賴」が含まれていました。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、 そこでも旧字の「賴」が収録されていました。 昭和21年11月5日、国語審議会が答申した当用漢字表にも、旧字の「賴」が収録されていました。翌週11月16日に当用漢字表は内閣告示され、旧字の「賴」は当用漢字になりました。ただし、当用漢字表のまえがきには「字体と音訓の整理については、調査中である」と書かれていました。当用漢字表の字体は、まだ変更される可能性があったのです。 字体の整理をおこなうべく、文部省教科書局国語課は昭和22年7月15日、活字字体整理に関する協議会を発足させました。活字字体整理に関する協議会は、昭和

    第119回 「頼」と「賴」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第114回 「回」と「囘」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「回」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「囘」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。旧字の「囘」の方が、むしろ、渦巻きの象形に近いのですが、どうしてこんなことになっているのでしょう。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、新字の「回」を含む2528字が収録されていました。しかし、旧字の「囘」は、標準漢字表のどこにも含まれていませんでした。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、そこでも新字の「回」だけが含まれていて、旧字の「囘」は含まれていませんでした。 昭和21年11月5日、国語審議会が答申した当用漢字表にも、やはり新字の「回」が収録されていて、旧字の「囘」はカッコ書きにすら含まれていませんでした。翌週11月16日に当用

    第114回 「回」と「囘」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第111回 「絃」と「弦」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    旧字の「弦」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。新字の「絃」は人名用漢字なので、やはり子供の名づけに使えます。旧字の「弦」は、弓に張る「弦」を意味する漢字で、漢の時代より前から使われていた古い漢字です。一方、新字の「絃」は、琴や琵琶など楽器の「絃」を表すために「弦」から分かれた漢字ですが、せいぜい晋の時代(三世紀頃)までしか遡ることができません。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、新字の「絃」と旧字の「弦」の両方を含む2528字が収録されていました。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、そこでも新字の「絃」と旧字の「弦」の両方が含まれていました。 ところが、昭和21年11月5日に国語審議会が答申した当用漢字表には、旧字の「弦」は含まれていたものの、新字の「絃」

    第111回 「絃」と「弦」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第109回 「梅」と「梅」と「楳」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準をしめしたもので、「梅」を含む2528字が収録されていました。昭和21年11月5日、国語審議会が答申した当用漢字表にも、やはり「梅」が収録されていました。翌週11月16日に当用漢字表は内閣告示され、「梅」は当用漢字になりました。 昭和23年1月1日に戸籍法が改正され、子供の名づけに使える漢字が、この時点での当用漢字表1850字に制限されました。当用漢字表には「梅」が収録されていたので、「梅」は子供の名づけに使ってよい漢字になりました。「梅」や「楳」は子供の名づけに使えなくなりました。 昭和23年6月1日、国語審議会は当用漢字字体表を答申しました。当用漢字字体表は、活字字体の標準となる形を手書きで示したものでしたが、「梅」は楷書体に近づける方向で新字体に変更されていまし

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  • 第107回 「頬」と「頰」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したものでしたが、新字の「頬」も旧字の「頰」も含まれていませんでした。国語審議会は、昭和21年11月5日に当用漢字表を答申しましたが、やはり「頬」も「頰」も含まれていませんでした。当用漢字表は、翌週11月16日に内閣告示されましたが、やはり「頬」も「頰」も含まれていませんでした。昭和23年1月1日、戸籍法が改正され、子供の名づけは当用漢字1850字に制限されました。この時点で、新字の「頬」も旧字の「頰」も、子供の名づけに使えなくなってしまったのです。 半世紀後の平成12年12月8日、国語審議会は表外漢字字体表を答申しました。表外漢字字体表は、常用漢字(および当時の人名用漢字)以外の漢字に対して、印刷に用いる字体のよりどころを示したもので、1022字の印刷標準字体が

    第107回 「頬」と「頰」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第105回 「強」と「强」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準をしめしたもので、旧字の「强」を含む2528字が収録されていました。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、そこでも旧字の「强」が収録されていて、新字の「強」は含まれていませんでした。 昭和21年4月27日、国語審議会は、常用漢字表を審議していました。この常用漢字表は、標準漢字表再検討に関する主査委員会が国語審議会に提出したもので、旧字の「强」を含む1295字を収録していました。この常用漢字表に対し、国語審議会は5月8日の総会で、さらなる検討を要する、と判断しました。それにともない、6月4日、常用漢字に関する主査委員会が発足しました。常用漢字に関する主査委員会では、「强」や「強」に関する議論は一切おこなわれなかったのですが、国語審議会が11月5日に答

    第105回 「強」と「强」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第103回 「清」と「淸」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「清」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「淸」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。新字の「清」は出生届に書いてOKですが、旧字の「淸」はダメ。でも、旧字の「淸」がOKだったこともあるのです。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表2528字を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、旧字の「淸」が含まれていました。昭和21年11月5日に国語審議会が答申した当用漢字表1850字は、手書きのガリ版刷りでしたが、やはり旧字の「淸」が含まれていました。昭和23年1月1日に戸籍法が改正され、子供の名づけに使える漢字が、この時点での当用漢字表1850字に制限されたことから、旧字の「淸」が子供の名づけに使ってよい漢字になりました。昭和23年の時点では、旧字の「淸」は出生届に書いてOKだけど、新字

    第103回 「清」と「淸」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • キラキラネームにおける異体字と音訓 | yasuokaの日記 | スラド

    私(安岡孝一)の2015年7月16日の日記の読者から、山西良典・大泉順平・西原陽子・福淳一の『人名の言語的特徴の分析に基づくキラキラネーム判定』(日感性工学会論文誌、2015年10月9日)という論文を紹介いただいた。ざっと読んでみたのだが、常用漢字や人名用漢字における異体字と音訓を、ちゃんと理解していないらしく、かなり妙な話になっていた。 キラキラネームには異体漢字が含まれることが多い.異体字とは,常用漢字と同様に使用可能であり読むことは可能であるが,形が異なっている漢字を指す.例としては,「愛來(あいら:女)」の「來」,「愛凜(あめり:女)」の「凜」が異体漢字にあたる. (中略) このとき,異体字の判定には,異体字を収集したデータベースを用いる.このデータベースは著者のうち1名がWebページ1を参照して作成した.データベースには1,332個の異体字を収録している. 1 http://

  • 第102回 「獠」と「䝤」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「獠」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。旧字の「䝤」も、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。「獠」と「䝤」の新旧については議論があるのですが、ここでは「獠」を新字、「䝤」を旧字ということにしておきましょう。 昭和21年11月5日、国語審議会は、文部大臣に当用漢字表1850字を答申しましたが、新字の「獠」も旧字の「䝤」も含まれていませんでした。当用漢字表は、翌週11月16日に内閣告示されましたが、やはり「獠」も「䝤」も含まれていませんでした。昭和23年1月1日、戸籍法が改正され、子供の名づけは当用漢字1850字に制限されました。この時点で、新字の「獠」も旧字の「䝤」も、子供の名づけに使えなくなってしまったのです。 平成元年2月13日に発足した民事行政審議会では、人名用漢字の追加が議論されました。法務省民事局が全国の市区町村を対象

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  • 第101回 「晒」と「曬」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    旧字の「曬」は「日にさらしてキレイにする」意味の文字で、音は「サイ」あるいは「シ」、いわゆる会意文字だと考えられますが、「麗」が音を表すとの説もあり、その場合には形声文字だと考えられます。新字の「晒」は、音の「サイ」を同音の「西」で表し、それに「曬」の左半分(日へん)をくっつけた、いわゆる形声文字だと考えられます。 昭和21年11月5日、国語審議会は、文部大臣に当用漢字表1850字を答申しました。当用漢字表には、しかし、新字の「晒」も旧字の「曬」も含まれていませんでした。当用漢字表は、翌週11月16日に内閣告示されましたが、やはり新字の「晒」も旧字の「曬」も含まれていませんでした。昭和23年1月1日、戸籍法が改正され、子供の名づけは当用漢字1850字に制限されました。この時点で、新字の「晒」も旧字の「曬」も、子供の名づけに使えなくなってしまったのです。 半世紀後の平成12年12月8日、国語

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  • 第100回 「氷」と「冰」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、新字の「氷」を含む2528字が収録されていました。しかし、旧字の「冰」はカッコ書きにすらなっておらず、標準漢字表のどこにも収録されていなかったのです。 昭和21年11月5日、国語審議会は、文部大臣に当用漢字表1850字を答申しましたが、当用漢字表でも新字の「氷」だけが収録されていて、旧字の「冰」は含まれていませんでした。当用漢字表は、翌週11月16日に内閣告示されましたが、やはり新字の「氷」だけが含まれていました。昭和23年1月1日、戸籍法が改正され、子供の名づけは当用漢字1850字に制限されました。この時点で、新字の「氷」は出生届に書いてOKですが、旧字の「冰」はダメ、となってしまったのです。 それから半世紀の後、平成16年3月26日に法制審議会のも

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  • Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » 人名用漢字の新字旧字:「春」と「旾」と「萅」

    2015年 11月 12日 木曜日 筆者: 安岡 孝一 第99回 「春」と「旾」と「萅」 旧字の「萅」は、「艸かんむりに日」で四季の「はる」を表した文字です。真ん中の「屯」は、草が伸び出ようとする様子を表すという説と、音の「シュン」を表すという説があって、前者の立場ならば会意文字、後者の立場なら形声文字ということになります。新字の「春」は、「萅」の「芚」を「𡗗」に略した文字で、結果的に「三人の日と書きます」が、「三」や「人」に意味があるわけではありません。一方、俗字の「旾」は、「萅」の艸かんむりを省略した文字だと考えられます。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、新字の「春」を含む2528字が収録されていました。しかし、旧字の「萅」はカッコ書きにすらなっておらず、標準漢字表のどこにも収

  • 第98回 「祐」と「祐」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「祐」は人名用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「祐」も人名用漢字なので、子供の名づけに使えます。でも、それぞれ子供の名づけに使えなかった時期があるのです。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表2528字を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、旧字の「祐」が含まれていました。ところが、昭和21年11月5日に国語審議会が答申した当用漢字表1850字では、「祐」は除かれていました。昭和23年1月1日に戸籍法が改正され、子供の名づけは当用漢字表1850字に制限されました。この時点で、新字の「祐」も旧字の「祐」も、子供の名づけに使えなくなってしまったのです。 昭和26年3月13日、国語審議会のもと発足した固有名詞部会では、子供の名づけに使える漢字を、当用漢字以外にも増やす方向で議論が進みました。固有名詞部会は『標準名づ

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  • 第97回 「針」と「鍼」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    旧字の「鍼」は、「シン」という音を表す「咸」に「金へん」がついた文字で、いわゆる形声文字だと考えられます。新字の「針」は、取っ手のついた「はり」を表す「十」に「金へん」がついた文字で、いわゆる会意文字だと考えられます。旧字の「鍼」は漢の時代より以前から使われていましたが、新字の「針」は南北朝時代(5~6世紀頃)までしか遡れないようです。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されており、新字の「針」が金部に含まれていました。しかし、旧字の「鍼」はカッコ書きにすらなっておらず、標準漢字表のどこにも収録されていなかったのです。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、そこでも新字の「針」だけが収録されていて、旧字の「鍼」は含まれていませんでした。

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  • 第96回 「猫」と「貓」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「」は常用漢字なので子供の名づけに使えるのですが、旧字の「貓」は子供の名づけに使えません。「」は出生届に書いてOKだけど、「貓」はダメ。どうしてこんなことになっているのでしょう。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されており、新字の「」が犬部に含まれていました。しかし、旧字の「貓」はカッコ書きにすらなっておらず、標準漢字表のどこにも収録されていなかったのです。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、そこでも新字の「」だけが収録されていて、旧字の「貓」は含まれていませんでした。 昭和21年11月5日、国語審議会は当用漢字表を、文部大臣に答申しました。この当用漢字表で、国語審議会は、新字の「」を削除してしまいました。当用漢字表

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