全国制覇や最速記録更新でスポットライトを浴びた4人のエースたち。 しかし、甲子園での栄光は彼らの人生にとってすべてではなかった。 あの夏から始まった曲折を、連続インタビューで改めて辿る。 13年前の夏、桐生第一高のエース・正田樹は甲子園のマウンドで両手を高々と突き上げた。185cmの長身サウスポーは2階から落ちてくるようなカーブと打者の胸元をつくストレートを武器に6試合で3完封、防御率0.85と突出した数字を残し、群馬県に初の優勝旗をもたらす原動力となったのだ。 「甲子園のマウンドは独特の雰囲気で、大会が進むにつれてアドレナリンが出てくる感じでした。閉会式が終わってから、どっと疲れが出てきたのを覚えています」 今シーズンからヤクルトのユニフォームを着ている正田は、柔和な表情であの夏の記憶を振り返った。「今となっては、いい思い出としか言えないですね。みんなで優勝したのは誇りですが、それを自分