僕の前に座った女の子にメニューを手渡すと、彼女はいろいろと見て迷い、結局ザルうどんにしたようだった。僕はカレーにしていた。注文が終わるとほかにすることがなく、僕はぼんやりしていた。彼女はケータイを見ていた。メールのチェックだろう。ケータイには緑色の、柔らかな直径3センチほどの玉がついていた。 最初にカレーが来た。それからザルうどんが来た。なんとなく目が会ったので、「うどん、コシがありますか?」ときいてみた。やっぱりうどんにすべきだったかなと思っていたのだった。 けげんそうな顔というのではなかったけど、彼女は何を問われているのかわからないようだったので、「固いですか」と付け加えた。 「ええ」と彼女は言う。 「うどん、好きなんですか」 「ええ」 会話はそこで終わるはずだった。彼女が僕に「カレー、好きですか」ときくことはないだろう。まあ、そのとおり。 ふとした間があってから、彼女は「名古屋のうど