■政府と医師が管理するヘロイン投与 「これは純度100%。路上で売っているのは10%ほどだ」 首都ベルンにある、ヘロイン依存者を支援するNGO「KODA-1」。共同ディレクターのフィリップ・ステットラ(46)は、小瓶に入った粉末状ヘロインをかざしてそう言った。医療用純度100%のヘロイン(ジアモルヒネ)は1グラム約20スイスフラン(約2300円)だが、路上では純度10%程度で50スイスフランするという。 スイスには、医師の管理下でヘロインを処方する治療(SIH)がある。ここでは、スイス政府の委託を受け、登録した約160人の依存者にヘロインを処方。大半は1日2回、ここで自ら注射する。年中無休で、近くの大学病院の精神科医3人が交代で診察や処方を担当する。週末は看護師が医師と連絡を取りながら処方、監督する態勢をとる。各部屋は厳重に施錠。患者は入室時、指紋認証を求められることもある。 ヘロインを受