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ブックマーク / agora-web.jp (19)

  • 新型コロナウイルス「抗体検査キット」の誤解は感染爆発を起こし得る(特別寄稿)

    新型コロナウイルスのPCR検査件数が不十分と言われる中、一部で診断の「救世主」として注目を集めているのが、抗体検査の簡易キットだ。 しかしこの検査は、特性を理解せずやみくもに使用すれば、社会混乱を増幅させるだけでなく感染爆発リスクを上げることにもなりかねない。そのことが世間ではまだ十分理解されていないと感じている。 稿では抗体検査と簡易キットのよくある誤解について解説し、検査法の限界と可能性を述べる。 抗体検査簡易キットとは 抗体検査の簡易キットは図1に示す通り、少量の血液を載せるだけで抗体陽性かどうかが判定できるものだ(図1)。自分で血液を取ることさえできれば自宅でも検査可能であり、また1キット数千円という安価で入手可能である。日国内でも研究用の簡易キットが既に市販されている。 英国ではこの簡易検査キットを一般家庭に配り、自己隔離の指標としてもらう方策も打ち出されているようだ(3月

    新型コロナウイルス「抗体検査キット」の誤解は感染爆発を起こし得る(特別寄稿)
  • 市民社会というフィクション - 『フーコー 生権力と統治性』

    ★★★★★(評者)池田信夫 フーコー 生権力と統治性 著者:中山 元 販売元:河出書房新社 発売日:2010-03-17 クチコミを見る ミシェル・フーコーが死去してから四半世紀以上たつが、いまだに彼の全貌はよくわからない。彼の早世によって主著『性の歴史』が途絶し、日では講義録の翻訳も止まっているため、彼の名はいまだに「構造主義」とか「人間の死」などのキャッチフレーズでしか知られていないが、著者も指摘するように、こうしたイメージは誤っている。 特にフーコーの中心テーマだった権力の問題については、彼の方針が二転三転し、まとまった著作を残さなかったため、早すぎた晩年の「空白の8年間」の講義やインタビューなどをたどらないと真意がよくわからない。書はそれを未公刊の草稿まで渉猟し、あちこちに分散しているフーコーの(断片的で一貫していない)権力論を体系的にまとめた労作である。 フーコーといえば、「

    市民社会というフィクション - 『フーコー 生権力と統治性』
  • 山本一郎氏が語るソーシャルゲーム開発の「炎上案件」を食い止める方法

    東京で4月15~16日という日程で、Unite Japanという米Unity Technologies主催のカンファレンスが開催中だ。ゲーム開発は属人性を伴っているものであることを痛感させられたセッションがある。イレギュラーズアンドパートナーズの山一郎氏が、ゲームエンジンのUnityが普及したがために起きている「炎上案件」にどのように対処するべきかを語った講演だ。同社は、トラブルを抱えたソーシャルゲーム開発プロジェクトの「炎上案件」が発生している場合の処理作業を業務の一つとして行っている。 Unityゲームエンジンとして、日では前年対比で500%という驚異的な売上を出し、世界でアメリカに続く、第2位のライセンス契約が結ばれているまでの大成功の状態にある。一方で、「Unityだから、安い、早い、簡単に開発できる」という思い込みも広がっている。優れたゲームエンジンを使えば、優れたゲーム

    山本一郎氏が語るソーシャルゲーム開発の「炎上案件」を食い止める方法
  • 脱原発と電力確保のトレードオフをどうするか

    関電が7月から15%節電を求める方針を固めたことで、脱原発と電力確保が、あちらを立てばこちらが立たずのトレードオフの関係にあるという現実が浮上してきたことになります。関西への製造拠点やデータセンターなどの西日シフトへの期待にも、突然冷水がかけられました。 国民のなかに脱原発への機運がたかまってきたことは自然な国民感情の流れだとしても、では、実際にどのように脱原発を進めるのか、政治が国民にコンセンサスを得るエネルギー政策を示せるのかどうかに、日の経済、また国民生活にとって、極めて優先度の高い課題になってきたと感じます。 菅総理は、自然エネルギー重視への転換を打ち出していますが、脱原発にいたる過渡期のシナリオについては一切触れていません。脱原発という目標を掲げることは誰にでもできることですが、もっとも重要なのはそれを達成するプロセスです。はたして次の政治リーダーがそのシナリオを描けるのかど

    脱原発と電力確保のトレードオフをどうするか
  • 福島原発1号機で発見された新事実にどう向き合うか

    5月12日、東電は「1号機の圧力容器で完全に水から露出した核燃料が過熱して容器底部に落下し、直径数センチ程度の穴に相当する損傷部から水が洩れていると見られる」と発表した。これまで「最悪事態」と考えられていた「メルトダウン(炉心溶融)」が実際に起こっていたこと、そして、「滅多なことでは破損しない」とされていた圧力容器が破損していたことを認めたのだ。 このことが確認されたのは、原子炉建屋内に入った作業員が水位計を調整した結果、「燃料棒の頂部から1.65メートル低い位置まで水で満たされているであろう」というこれまでの推定が覆され、水位は頂部から5メートル以上低いことが分ったからだ。こうなると、燃料棒の大半は既に溶けたり崩れたりして、圧力容器の底部に落下したと推定せざるを得ない。溶融した核燃料の温度は3000度近い高温である一方、直径約4.8メートルの圧力容器底部には97の制御棒と34の中性子

    福島原発1号機で発見された新事実にどう向き合うか
  • 「量的緩和」という物語・その2

    クルーグマンは、自身のブログ記事の中で、次のように述べている。 For the big concern about quantitative easing isn’t that it will do too much; it is that it will accomplish too little. だから、量的緩和についての大いなる関心事は、それがやり過ぎにならないかということではなく、それがあまりに乏しい成果しかあげらないのではないかということである。 この点に関しては、私も同意見である。既に日米ともに、政策金利を事実上ゼロにまで引き下げ、その状態を長期にわたって続けることにコミットしている。このことによってかなりの効果(と弊害)が生じているが、これに量的緩和によって追加できる効果は、あまり大きくないと考えられる。 現代日の金融構造が、先の拙記事「金融構造の今昔物語」の図4と図5(

  • 「量的緩和」という物語

    率直にいって、マクロ経済学を学んだだけでは金融政策を理解するために十分ではないと思われる。金融政策のトランスミッション(伝播)メカニズムを正しく理解するためには、準備預金制度や短期金融市場などの金融政策に関連する制度的機構についての金融論的な知識も必要だからである。 とはいっても、通常の議論のためには勘所となるポイントさえ押さえていればよいのであって、分かってしまえばそれほど難しい話ではない。とりあえず押さえてほしいポイントは、金融政策は中央銀行と民間銀行の間の取引を通じてしか遂行され得ないというところである。この点が必ずしも理解されていないことから、無用な混乱が生じているきらいがあるので、この機会にできるだけやさしく説明しておきたい。 貸金業者と銀行の大きな違いは、貸金業者は借り手に現金を渡すかたちをとるのに対して、銀行は自行に設けられた借り手の預金口座に振り込むかたちをとる(その後、借

    「量的緩和」という物語
  • やさしい「財政ファイナンス」の話(補足)

    中央銀行による国債購入の効果を論じた先の記事のコメント欄に「日銀がケチャップやREITを買ったら図2はどうなるのですか。」という質問があった。コメント欄で簡単に答えておいたけれども、日銀行は、ケチャップを買う予定はまだないようだが、不動産投資信託(REIT)は買おうとしているようなので、この種の疑問はある意味ではきわめて重要である。それに対する解答は、多く人達に正しく理解しておいてほしいことなので、改めて正確に説明しておきたい。 先の記事の図2の状態から、中央銀行が国債以外の財・サービス(例えば、ケチャップ)あるいは資産(REITなど)を民間から買い上げると、正確には次の図4Bのような状態になる。 この場合にも、財政赤字を中央銀行の国債引き受けでまかなった場合(先の記事の図4)と同様に、民間の保有資源が(政府ないしは中央銀行に移転して)青色で塗りつぶした分だけさらに少なくなる一方で貨幣供

  • やさしい「財政ファイナンス」の話

    来月初めのFOMCで米国連邦準備理事会が、新たな長期国債買い取りプログラムを導入すると見込まれており、そうしたプログラムの導入をQE2(Quantitative Easing ver.2、量的緩和第2弾)と呼ぶようになっている。このことは、小幡績氏が書いているように、「量的緩和」という言葉が一人歩きをしはじめ、拡散した意味合いでもちいられるようになってきていることを示している。 しかし、中央銀行による国債買い取りには、2つの基的に異なったケースがあることは正しく認識しておく必要がある。日銀行がいわゆる「銀行券ルール」にこだわっているのも、これら2つのケースの違いを意識しているからであろう。2つのケースの違いについては、多くの人達に是非知っておいてほしいと思うので、改めて解説しておきたい。 最も単純化したケースについて、政府と中央銀行、そして民間部門のバランスシートの関係をイメージ的に示

  • 我が国の成熟化と官僚制の機能変化  務台俊介

    政治と官僚制の相互関係~ 私は総務省の課長時代の3年ほど前、元大蔵省銀行局長で早稲田大学教授西村吉正氏の「官僚の生き様と経済社会思想」という講演を伺う機会があった。 日が福祉国家に向かう中で官僚制が果たしてきた役割、市場原理の浸透により官僚の果たす役割が大きく変化しつつあるという認識、そして政治家と官僚の役割の変遷について、ご自身の経験を踏まえ、明治以来の官僚制の制度的変遷を紐解きながら、縦横に解説していただいた。 当時、私自身が、その変化の渦中におり、またその後、その講演内容が示唆した方向に身を投じることとなっただけに、ある意味で運命的な内容ともなった講演であった。 西村教授によると、 戦後復興期における官僚の自負は、当時の学生に共通した意識である、個別利益に奉仕することへの抵抗感、自分の人生は社会的に価値あるものに用いたいとの願望に裏付けられ、「金儲けなどに人生をかけるのはいかがな

    我が国の成熟化と官僚制の機能変化  務台俊介
  • 池田信夫著「使える経済書100冊」特集ページ : アゴラ

    使える経済書100冊:『資論』から『ブラック・スワン』まで 今年は「電子出版元年」といわれ、アマゾンのキンドルに続いてアップルのiPadが発表された。日でもこれから電子書籍が普及し、を端末で読むことができるようになろう。しかしインターネット時代になっても、に代表されるまとまった知識の重要性は変わらない。 「使える経済書100冊」序文の続きを読む 第2章 ブログ書評一覧 第1章 の選び方・買い方・読み方 第2章 世界経済危機をどう見るか 「ブラック・スワン 上」|「ブラック・スワン 下」 「市場の変相」 「資主義は嫌いですか」 「波乱の時代(上)」|「波乱の時代(下)」 「大収縮1929-1933」 「アニマルスピリット」 「すべての経済はバブルに通じる」 「Too Big to Fail」 第2章で紹介されている書籍のブログ書評を読む 第3章 市場というメカニズム 「市場を

  • 年金財政の課題-現実を帯び始めた「2031年・積立金の枯渇」

    急速に少子高齢化が進む日。公的年金の財政収支は悪化の一途を辿っている。 その中で、約120兆円の公的年金積立金の取り崩しが徐々に進みつつある。実際、年金積立金管理運用独立行政法人(通称「GPIF」)は2011年度中においても、約6.4兆円の積立金を取り崩す予定である(日経新聞2011年4月24日)。 実はあまり知られていないが、積立金の取り崩しは2009年度から実施されている。というのは、最近は、保険料・公費や運用収益といった収入よりも給付総額が上回る状況に陥っており、09年度は約4兆円、10年度は約6-7兆の積立金を取り崩してきたが、それが次第に定着しつつあるのである。 もし、この取り崩しの流れが格的に定着してしまうと、「2031年に積立金が枯渇」するという厚労省の試算が現実を帯びてくる(図表)。 図表:積立金の経路(イメージ) この試算は厚労省が自らのモデルを利用して試算した公式の

    年金財政の課題-現実を帯び始めた「2031年・積立金の枯渇」
  • 日本人はすばらしい?

    今回の地震の規模に比べて被害が小さく、人々が整然と行動したことを海外のメディアが「日人はすばらしい」と賞賛し、それを日人が引用するのが目立ちます。同様の話は阪神大震災のときも見られ、ある種のステレオタイプでしょう。 もちろんハイチの地震で暴動が起こったことなどに比べれば、日人の協力的な行動は見事なものですが、他方では過剰な自粛が見られ、テレビやラジオの番組はどのチャンネルも1日中おなじような災害報道で埋まっています。私がツイッターで皮肉をいうと「非常時に政府を批判するのは不謹慎だ」といったコメントがたくさん来て驚きます。 きわめつけは佐藤優氏の「福島原発に関する報道協定を結べ」という記事でしょう。彼は政府が記者クラブと談合して報道管制を敷けという。これ以外にも「翼賛体制の確立を」とか「大和魂で菅直人首相を支えよ」といった記事を連投しており、ファシストの性を現したというところでしょう

    日本人はすばらしい?
  • 政府見解と食い違う日米専門家の意見 ‐ 木谷哲夫

    海外在住の日人からニューヨークタイムズの福島原発に関する最新のBreaking Newsについて教わりました。これを見ると日政府の公式見解と日政府/アメリカ政府/アメリカの専門家の見解との間でずれが有るように思えます。 “Radioactive Releases at Fukushima Could Last Months” 要点をまとめますと: 日米の専門家の見解によると、福島原発原子炉からの放射線物質を含む蒸気の放出は今後数週間、数ヶ月続く可能性あり。 ペンタゴンのレポートによると、福島原発の60マイル(96.6Km)離れた上空でCesium-137 とIodine-121を含むと思われる放射性物質が検出された。 原子炉が高熱で有る限り、原子炉への海水の直接注入、その結果排出される蒸気の放出は免れず、20万人の避難民はかなり長い期間自宅に戻れないであろうし、風向きによっては、風に

    政府見解と食い違う日米専門家の意見 ‐ 木谷哲夫
  • 原発学者たちの良心を疑う - 純丘曜彰

    べつに原発反対派ではない。よけいな社会的パニックを引き起こすことを歓迎するものでもない。だが、国内で唯一、実情を国民に説明することのできる専門家たちが、この場に及んでまでも、マスコミの中で奇妙な原発擁護のレトリック(修辞)をこねくり回していることに対し、学者としての良心を疑う。 「「想定外」の大震災にもかかわらず、この程度で済んでいるのは、日の原発が「優秀」だからだ」などと解説する学者は、まったくの茶番。福島原発に関して言えば、専門家であれば当然にあの問題、いや、一般のジャーナリストであっても、ちょっと調べればすぐに検索に引っかかる問題、すなわち、つい先日、二月二八日の時事通信等の報道を思い浮かべるはずだ。 すなわち、東京電力は、十数年に渡って福島原発で機器点検簿の改竄偽造を行ってきていた。その中に、まさに「非常用ディーゼル発電機」や「空調機」などが含まれていた。この問題に対し、東京電力

    原発学者たちの良心を疑う - 純丘曜彰
    yomayoma
    yomayoma 2011/03/14
    「これからどうなるリスクがあるのか」「科学的シナリオ(一連の事件)のすべてを隠さずに客観的、批判的に説明」の意味意義/「おまえら」とか「説明しろ」とかいう言い方
  • 暗黙知は職人芸ではない - 『マイケル・ポランニー 「暗黙知」と自由の哲学』

    ★★★☆☆(評者)池田信夫 マイケル・ポランニー 「暗黙知」と自由の哲学 (講談社選書メチエ) 著者:佐藤 光 販売元:講談社 発売日:2010-01-08 クチコミを見る マイケル・ポランニーというのは、日ではそれほど著名な哲学者ではないが、「暗黙知」という言葉は聞いたことのある人が多いだろう。特に日のものづくりを賞賛するとき、設計図のような「形式知」に対して職人芸のような「暗黙知」を対比し、日の製造業の強みを後者に求める議論が、一時流行した。 しかし書も指摘するように、こういう議論はポランニーとは無関係である。彼の提唱した暗黙知は、形式知と対立する特殊な知のあり方ではなく、およそ人が外界を認識するとき、最初に必要になる枠組だ。化学者だった彼は、この概念を科学的発見の論理として考え、これがのちにトマス・クーンの「パラダイム」の概念となった。「古い脳」でできる暗黙知が合理的思考の基

    yomayoma
    yomayoma 2010/04/07
    「デジタル技術の世界では、こうした職人芸はソフトウェアに置き換えられ、国際競争の中では重要でなくなっている」
  • 日本的雇用とともに変わる家族の姿 - 『労働市場改革の経済学』

    ★★★★☆ (評者)池田信夫 労働市場改革の経済学 著者:八代 尚宏 販売元:東洋経済新報社 (2009-11-20) 販売元:Amazon.co.jp 非正社員などの「格差」の原因や改革の方向についての書の考え方は、私が『希望を捨てる勇気』で書いたのとほとんど同じである。日的な長期雇用システムは、高度成長期のように一つの会社に一生をささげることによって最終的に全員が利益を得られる時代には機能したが、その利益が枯渇すると中高年の正社員の既得権を守るために若年労働者を労働市場から排除する、不公正で非効率なシステムになる。非正社員の70%以上が女性であり、非正社員の問題は女性の労働条件の問題でもある。 もう一つの問題は、少子高齢化にともなう労働人口の減少だが、これを子ども手当で防ぐことはできない。OECDも指摘するように、日では高学歴の女性が専業主婦になり、子供が手を離れてから就業すると

    日本的雇用とともに変わる家族の姿 - 『労働市場改革の経済学』
  • 恐いのはデフレよりインフレだ - 『マネーの進化史』

    政府が「デフレ宣言」を出し、それに押されるように日銀がデフレ対策を取るなど、デフレが悪の元凶のように思われている。しかし日のデフレは1~2%程度のゆるやかなもので、デフレスパイラルに陥る心配はない。90年代以降、世界的に起こっているdisinflationの最大の原因は新興国の世界市場への参入による相対価格の変化であり、これは先進国の購買力を増す。歴史的にも、デフレと不況に必然的な関係ない。 他方、インフレ(特にハイパーインフレ)で経済が破綻した例は数え切れない。これは貨幣が「人々がその価値を信じているがゆえに価値がある」という同語反復的な存在であることによる。人々が貨幣の価値を疑った瞬間にその価値は失われ、その信用を取り戻すことはできないのだ。特に近代以降は、中央銀行が貨幣を発行するようになったため、その価値は国家の権威と結びつき、インフレによって国家が崩壊することも珍しくない。 最初

    恐いのはデフレよりインフレだ - 『マネーの進化史』
  • マルクスとブローデル - 池田信夫

    主義の質を鞘取りに求めるブローデルの思想は、明らかにマルクスの剰余価値の概念を継承するものです。『資論』の分析対象が資主義ではなく市民社会だという話は、私の学生時代に盛り上がったのですが、そこでは逆に不等価交換としての資主義(資家的生産様式)が軽視されがちでした。 『資論』の主要なテーマは、市民社会そのものではなく、ほんらい自由・平等な市民社会からなぜ不平等な資主義(資家的生産様式)が立ち上がってくるのか、という問題です。こう書くとネガティブに見えますが、これはすべての利潤が消滅する市場の中でいかにして付加価値を生み出すか、というイノベーションの問題でもあります。 マルクスはこれを「貨幣の資への転化」として説明しました。そのコアにある論理は、労働力の商品化です。資家は労働力の価値に等しい賃金を労働者に払って、その労働の生産物を売る。したがって労働によって創造される価

    マルクスとブローデル - 池田信夫
    yomayoma
    yomayoma 2009/04/10
    労働力商品の再生産
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