国会会期末に向けて消費増税論議が本格化するが、マスコミをにぎわしているのは解散時期や民主党党内事情のことである。しかし、国民が知りたいのは、消費増税で社会保障は本当に安心できるのか、ということと、それで経済は大丈夫なのか、ということである。 税率をあげても、経済が縮小していけば税収は増えないのではないかという疑問に、政府はしっかりと回答していない。 国税庁の民間給与実態統計調査によれば、民間で働く人の平均給与は前回消費増税を実施した平成9年(1997年)の467万円がピークで、その後下落が進み、平成22年(2010年)はやや持ち直したものの412万円である。長期デフレの中で、国民の給与が減っているのである。 97年の増税は失敗だった。97年増税実施時の首相だった橋本龍太郎氏は、平成13年(2001年)4月の自民党総裁選の立会演説会で以下のように述べた。 「バブル崩壊後の長期の不況を脱するこ