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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (66)

  • ベールを燃やして殺戮に抗議する女たち

    反政府デモに対する弾圧で多数の死者が出ているイエメンで、女性たちがイスラムの伝統衣装ベールを燃やす抗議デモを行った。数百人の女性が26日、首都サヌアに集結し、「人殺しサレハ(大統領)は女たちを殺し、それを恥じていない」、「サレハの目には女は虫けらも同然だ」などの横断幕を掲げて行進した。 この抗議行動は、先週末の反政府デモの弾圧で、少なくとも25人が死亡したことを受けて実施された。国連安保理は先週、全会一致でイエメン政府の弾圧への非難決議を採択した。 ベールを燃やす行為は遊牧民族ベドウィンの意思表示で、政府の弾圧を止めさせるために立ち上がるようベドウィンの男性に求めている。参加した女性たちは、「これはイエメンの自由な女性たちからの訴えだ。独裁者サレハの虐殺を世界に直視してもらうためにベールを燃やした」というチラシを配った。 中東諸国の民主化運動「アラブの春」をきっかけにして今年3月に始まった

  • 知られざる少数民族「トラベラーズ」

    イギリスの作家ジョージ・オーウェルは、有名な「二重思考」という造語を考え出した。相反する二つの意見を同時に持つことができる、ということを意味する言葉だ。 オーウェルの反ユートピア小説『1984』に描かれた二重思考とはつまり、政権の言うことは真実ではないと国民が知りながら、それでも信じなければいけない、という状態を指している。状況は異なるけれど、僕は今、自分がこの二重思考に陥っていることを自覚している。 イギリスでは現在、世論を巻き込んだ10年越しの法的闘争が決着しようとしている。近々エセックス州当局が、デール・ファームと呼ばれる地域から数十組の家族を立ち退かせる見込みだ。彼らはこの地に不法に住居を建てて暮らしていた。 この一件は、ここ半年というものイギリスで大ニュースになっていた。著名活動家らが意見を戦わせ、有名なテレビジャーナリストたちが現地を取材し、多くの論説が新聞各紙をにぎわせた。

    zyesuta
    zyesuta 2011/10/10
    必ずしも「好き」とは言えないマイノリティーをどの程度容認し、共生していくことができるか――そんな基準で社会の「寛大さ」は評価される
  • 日本は「今の」韓国をモデルにすべきでない

    今週のコラムニスト:クォン・ヨンソク 〔8月31日号掲載〕 日の官僚や産業界の人と話をしていると、彼らの一部に韓国を経済分野における成功モデルにしようとする意識が働いていることに気付く。いわゆる「ルック・コリア」と呼ばれる風潮だ。 サムスンや現代、LGといった企業の躍進や、世界各国との自由貿易協定(FTA)締結、教育改革などによるグローバル化の推進が、日にそうした意識をもたらしているのかもしれない。また平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック誘致の成功や、欧米でもブームを起こしつつあるK─POPなどによって、停滞気味の日の目に韓国が若くて元気で健康な国に映っているのだろう。 だが現在の韓国は、当に日のモデルになり得るのか。隣の芝は青く見えるもの。僕が思うに、少し韓国を買いかぶり過ぎだろう。 実際のところ「超圧縮成長」を遂げてきた韓国経済は、その裏で国内に大きなひずみを生み出した。超大

    日本は「今の」韓国をモデルにすべきでない
  • 20世紀の宇宙競争はロシアの勝利で幕

    新時代 宇宙開発は国家競争から世界プロジェクトに(モスクワで訓練中の宇宙飛行士) Sergei Remezov-Reuters 先週、フロリダ州のケネディ宇宙センターから「最後のスペースシャトル」アトランティスが打ち上げられた。これで50年代に始まった宇宙開発競争の第1章の幕が下りる。 12日後にアトランティスが地球に帰還すると、アメリカでは半世紀ぶりに、進行中の有人宇宙飛行計画がなくなる。今後はアメリカより不細工で時代遅れだが、安上がりで安定したロシア技術が主役となる。 「宇宙の探検はわれわれのDNAに組み込まれている」と、5月にエンデバーで宇宙に向かう直前に、船長を務めたマーク・ケリーは報道陣に語った。 しかしシャトル計画はカネが掛かる上、簡単に再利用できる宇宙船を建造して頻繁に宇宙へ行くという当初の目的を、結局は果たせなかった。NASAが1920億ドルを投じて135回のミッションを

  • ドイツ製戦車を買うサウジの物騒な思惑

    人権団体は騒然 サウジへの戦車売却を計画する独メルケル政権に抗議する市民(ベルリン、7月6日) Bob Strong-Reuters 1943年、ナチス・ドイツのエルビン・ロンメル将軍率いる戦車部隊は、ヒトラーが喉から手が出るほど欲したアラブの油田に到達する前に力尽きた。そして今、再びドイツのメルケル首相がこの地にドイツの戦車を送り込もうとしている。だが今回、それを操縦するのはサウジアラビア兵だ。 先日、ドイツ政府は主力戦車レオパルト2を200台、サウジアラビアに売却することを承認。ドイツ国内はもとより、世界中から非難を浴びた。サウジアラビアは3月に隣国バーレーンの民主化運動を軍事力で抑え込んだばかり。人権擁護団体はこの68トンの巨大戦車を国内の民主化デモ鎮圧に使用するのではないかと懸念している。 人権を弾圧する国に戦車を販売するモラルよりも、さらに懸念を呼んでいるのが、世界最高の地上兵器

    zyesuta
    zyesuta 2011/08/17
    サウジアラビアが想定しているのは、イランの脅威だ
  • 収容所国家中国の深い闇

    アーティストの艾未未は釈放されたが、中国共産党は「アラブの春」の飛び火を恐れて天安門事件以来最も過酷な弾圧を続けている アーティスト人生で最も注目を集めたパフォーマンスは、柄になく控えめだった。中国で最も著名な芸術家で反体制活動家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)が6月22日、11週間ぶりに釈放されたが、見るからに精気がなかった。 「短いほうが元気が出る」ので自分で髪を切ったと、北京のアトリエで報道陣に冗談を言ってみせたが、拘禁生活の過酷さは隠せない。以前より痩せ、目には恐怖の色が見て取れた。 1年間発言を禁じられているとの理由で、拘禁生活についてはコメントを拒否。当に自由になったのかは分からないと、誌記者に話した。「裁判は行われないはずだが、先のことは分からない」 拘禁中に拷問されたのかという問いを投げ掛けると、一瞬沈黙してこう答えた。「何も言えない。申し訳ないが」 温家宝(ウエン・チア

  • 中国と争うフィリピンのしたたかさ

    南シナ海・南沙諸島の領有権問題をめぐる中国とベトナムの緊張は先週、ベトナム政府特使が中国を訪れ、双方が「平和的解決を目指す」ことを確認して一段落した。だが中国がトラブルを抱え込む東南アジアの国はほかにもある。フィリピンだ。 今年2月、フィリピン漁船が南沙諸島付近で中国海軍の艦船から威嚇射撃され、翌3月には石油探査船が中国船から妨害行為を受けた。先月中旬には中国側が周辺国を威嚇するように大型巡視船を南シナ海に派遣した。 中国に比べれば小国にすぎないフィリピンだが、おとなしく黙ってはいない。...文続く ──ここから先は7月6日発売の『ニューズウィーク日版』 2011年7月13日号をご覧ください。 <デジタル版マガストアでのご購入はこちら> <デジタル版Fujisan.co.jpでのご購入はこちら> <定期購読のお申し込みはこちら> または書店、駅売店にてお求めください 今週のカバー特集は

  • 広州暴動だけじゃない中国崩壊の兆し

    政府ビルを狙った爆破事件、土地押収に抗議する焼身自殺──沸点を越えた民衆の怒りは物の「ジャスミン革命」の引き金となりかねない 広東州広州は中国の製造業を支える南部の一大工業都市。だが経済の急成長の陰で積してきた労働者らの怒りはついに極限に達し、中国の安定を揺るがそうとしている。 織物工場が集中し、中国全土から出稼ぎ労働者が集まる広州近郊の増城市で先週末、3日続けて出稼ぎ労働者による暴動が勃発。警察は催涙弾を使って何とか騒ぎを鎮圧したとされる。 ことの発端は6月10日夜、露天の無許可営業を取り締まる治安当局が、露天商の妊婦に暴力を振るったこと。当局は女性に移動を求めたが話が折り合わず、女性を地面に押さえ付けたとされる。女性の夫の抗議に同調した労働者らと治安当局の小競り合いが暴動に発展。BBCによれば、5月12日夜には約1000人に膨れ上がったデモ隊が、車両に火をつけ、警察にレンガを投げつ

  • ベトナムvs中国、南シナ海バトルの行方

    ベトナムと中国による南シナ海の領有権争いが激化するなか、中国のライバル陣営の頭には単純なアイデアが浮かんだようだ。それは、この海の名前を変えるというものだ。 ベトナムは、南シナ海という現在の呼び名を「東南アジア海」に変えようと各国や国際機関に働きかける署名運動を展開。呼び掛けは支持を広げている。フィリピンも別の案を考えている。「この海が南シナ海と呼ばれる限り、その名称が含まれる国(シナ=中国)のものだというメッセージが無意識に伝わるおそれがある」と、フィリピン軍広報官のミゲル・ホセ・ロドリゲス准将は言う。「我々フィリピン人はここを西フィリピン海と呼ぶべきだ」 領有権に関しては、名前が重要な意味を持つと考える人が増えている。石油や天然ガス、鉱物資源が豊富にあると思われるスプラトリー諸島及びパラセル群島は、中国と南シナ海周辺諸国の間で起きている領有権争いの中心地。ここも中国では南沙諸島および西

  • フランス「国境封鎖」で移民列車を阻止

    イタリア経由でフランスに入ろうとするチュニジアやリビアからの移民は、責任を押し付けあう仏伊国境で立ち往生 フランス政府は17日、北アフリカからの移民流入を防ぐため、イタリアとの国境にある鉄道を一時閉鎖した。政府によれば、足止めした列車には、移民のほかにもフランスでの抗議デモを予定していた数百人の活動家が乗車しており、彼らの入国を阻止するための措置だったという。 イタリアはフランスに対し「国境封鎖は違法」と抗議したが、EU(欧州連合)はフランスの措置を支持した。 イタリアからの公式な抗議によって、列車は18日に運行を再開した。AP通信によれば、フランス内務省の広報官ピエール・アンリ・ブランデは「決して......フランスとイタリアの国境を封鎖したのではない」と語った。「今回の措置はまったく『別の問題』」で、「申告されていないデモ活動」を防ぐためだったという。 欧州委員会(EUの行政執行機関)

    zyesuta
    zyesuta 2011/05/01
    「一時的」な運行停止は「治安維持」のためだと説明するフランスからの書簡を受け取ったと言う。「これはシェンゲン協定の倫理規定に含まれない事象だろう」
  • カリブ海を困惑させる中国の投資ブーム

    2005年、カリブ海に浮かぶ小さな島国グレナダに中国政府から「プレゼント」が贈られた。建設費5500万ドルのクリケットスタジアムだ。 これは07年に開かれたクリケット・ワールドカップに向けて、中国がカリブ海諸国に提供した総額1億3200万ドルの援助や低金利融資の一部。当時は、対中関係を重視して台湾との公的関係を断ち切ったグレナダへの、気前のいい「ご褒美」と受け止められていた。 しかし、その後の中国の振る舞いをみると、スタジアム建設などちっぽけな話に思える。中国の政府と民間企業は、カリブ海諸国に大規模な観光施設を建て、道路や港湾を整備するために巨額を拠出。資金難に苦しむカリブ海諸国は「恩人」の好意に感謝する一方で、中国が見返りに何を求めているのか、いぶかっている。 「カリブ海のほぼすべての島が中国から巨額の投資を受けている」と、ロンドンを拠点にカリブ海諸国にコンサルティングを行うカリブ評議会

  • 石油危機という名の時限爆弾

    エジプト危機で世界中が思い知った事実がある。私たちがどっぷり依存している石油市場は、不測の政治動乱というリスクを常に抱えているということだ。 ただし主要産油国ではないエジプトの原油生産がストップしても大きな問題にはならないだろう。この国の原油生産量は日量70万バレルと、世界の1日の需要量約9000万バレルに比べれば微々たるもの。世界では日量400万バレルの余剰原油があるので、エジプト分はこれで賄える。 影響があるとすれば輸送面だろう。紅海と地中海を結ぶスエズ運河とスメドパイプラインで運ばれる原油は1日300万バレル。これらの輸送路が封鎖されれば原油価格の上昇はほぼ確実だ。 それでもほかの輸送路の確保が可能なことを考えれば、当に警戒すべきなのは政治動乱の連鎖が起き、主要産油国からの供給が途絶えることだ。サウジアラビア(日量850万バレル)、クウェート(230万バレル)、イラン(370万バレ

  • ゲーツが抱く「日米韓同盟」構想

    仲人役 今週の「日韓ドラマ」の主役を努めたゲーツ(右、写真は昨年5月) Hyungwon Kang-Reuters 敵の敵は味方なら、日韓国は今後ますます近付いていくだろう。その「日韓ドラマ」で今週、主役を演じたのはロバート・ゲーツ米国防長官だ。 1月9日から中日韓を歴訪しているゲーツは、北東アジアを最近訪れた米高官の中では最も影響力の強い人物だろう。日米韓の3国同盟についてはっきり言及はしていないが、日韓それぞれとの同盟関係を強化すると明言。さらに、共通の敵である北朝鮮について強調することも忘れなかった。 最初に訪れた北京では、北朝鮮アメリカを脅かす存在になっていると強く主張。まもなく北朝鮮は、ハワイやアラスカが射程に入るミサイルを保有するだろうと語った。 13日には東京で北沢俊美防衛相と会談。挑発的な態度をみせる北朝鮮は危険な存在で、このならず者国家を抑えるうえで日が主導的役割

  • 小国からも領土を分捕る中国の膨張主義

    中央アジアのタジキスタンが隣接する領土の一部を中国に引き渡すことで合意した。ワシントン・ポスト紙は以下のように伝えている。 タジキスタン議会は12日、ほとんど住民が暮らしていないパミール高原の土地約1000平方キロを放棄すると議決した。この土地に何人が暮らしているか、現時点で情報はない。 野党・イスラム復興党のムヒッディーン・カビリ党首は、領土の放棄は違憲でタジキスタン外交的敗北を意味していると非難した。しかしハムラーファン・ザリフィ外相に言わせれば、今回の決定はタジキスタン側の勝利だ。なぜなら中国が当初は2万8000平方キロ以上の領有権を主張していたからだ。 この領土問題は、タジキスタンが帝政ロシアの一部だった19世紀にまでさかのぼる。 広大な国土の中国が、67分の1の大きさのタジキスタンと領土争いをするのは了見が小さいように思えるが、小さな土地でもその意味は大きい。パミール高原はアフガ

  • ウィキリークスが暴くアメリカ陰謀説の嘘

    アメリカが裏で糸を引いて中南米情勢を混乱させていると反米指導者たちは訴えるが、漏えい文書にその兆候はない 11月末に内部告発サイト「ウィキリークス」が大量に暴露した米国務省の公電には、アメリカ外交の機密が多数詰まっていた。ところが、ラテンアメリカ関連の情報はほとんどなかった。物足りなさを感じたのか、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領はヒラリー・クリントン米国務長官の辞任を求める発言などをして騒動に乱入した。 漏えいされた文書の中で、クリントンはアルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領の精神状態について問い合わせ、一方ではチャベスを「クレイジー」と表現していた。こんなことが明るみに出れば、多くの人々の怒りを掻き立て、アメリカの支配に苦しめられてきた中南米にさらなる緊張が走るのは必至、と思われた。 しかし、現実は違うようだ。チャベスやボリビアのエボ・モラレス大統領、エクア

    zyesuta
    zyesuta 2010/12/07
    この次は「ウィキリークスはアメリカの陰謀。都合の悪いものは隠されている」でしょう。アメリカがUFOを隠匿している説はそんな感じですし。「証拠が見つからないのが証拠」と妄想するから退治不可能。
  • 北朝鮮「権力闘争」が招いた砲撃事件

    横田孝(誌編集長・誌国際版東京特派員)、ジェリー・グオ、メリンダ・リウ(北京支局長)、クリストファー・ディッキー 北朝鮮韓国の島を砲撃し、ここ最近の歴史では初めて民間人の負傷者が出たことで、朝鮮半島は一気に緊迫モードに突入した。韓国北朝鮮がまた挑発すればミサイル基地を攻撃すると警告。韓国兵は2人が死亡、兵士15人が負傷。民間人も3人が傷を負い、23日に砲撃を受けた韓国領の延坪(ヨンピョン)島の住民は避難を始めた。 北朝鮮専門家たちに言わせれば、今回の砲撃はアメリカを対話に応じさせ、6カ国協議で譲歩を引き出すための脅迫らしい。大統領府の地下壕にある国家危機管理センターにこの日集まった韓国首脳たちもそう理解しているようだ。外務省のある高官は「彼らが考えていることは誰もはっきりと分からない。だが6カ国協議復帰が関係している可能性はある」と語った。 当にそうだろうか。北朝鮮アメリカを交

    zyesuta
    zyesuta 2010/11/24
    より戦略的に言えば、北朝鮮はアメリカと韓国とロシアで大統領選があり、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が交代する2012年まで、自分たちに有利な取引は望めないと感じ取っている。
  • 砲撃は金正恩の「デビュー戦」か

    北朝鮮に関しては、確かにこれまでも数多くの警告がなされてきた。そんな中、北朝鮮が行った23日の韓国・延坪(ヨンビョン)島への砲撃は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継に確定した三男、正恩(ジョンウン)が命令を下したか、あるいは少なくともこの後継体制作りが関連している可能性があると指摘する専門家もいるようだ。オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙はこう報道している。 北朝鮮韓国領土に対する砲撃によって、後継者に確定した26歳の金正恩の指導者としての足場を固めようとしている。今回の大規模な攻撃を受けて韓国は数十発の砲弾で応戦し、F-16戦闘爆撃機を緊急出動させた。 韓国軍兵士2人が死亡し、少なくとも12人が重軽傷を負った。北朝鮮側の砲弾によって延坪島の住民が負傷したとの情報や住宅炎上したとの報道もある。 北朝鮮情勢に詳しい張璉瑰(チャン・リエンコイ)中国共産党中央党校教授によ

  • 世界の武装ゲリラがトヨタを愛する理由

    レジャー用なのに 紛争地でも交換部品がすぐ手に入るほど出回っている(アフガニスタンでゲリラ戦に備える米兵、02年) Paula Bronstein/Getty Images 数年前、アフガニスタンでアメリカ軍と武装勢力の戦闘が激化し始めた頃、アメリカの対ゲリラ戦専門家デービッド・キルカランは、新しい模様のタトゥーを彫ったゲリラ兵がいることに気付いた。 それは、イスラム原理主義組織タリバンを象徴するものでもなく、アフガニスタンを象徴するものですらない。そのタトゥーは、カナダ国旗のカエデの葉を描いたものだった。 不思議に思って調べてみると、場違いなカエデの葉は、アフガニスタンと世界中のゲリラ戦で極めて重要な役割を果たしている(とキルカランが見なす)「武器」と関係があると判明したと言う。その武器とは、軽量で極めて頑丈なトヨタのピックアップトラック、ハイラックスである。 「(ハイラックスは)特にア

    世界の武装ゲリラがトヨタを愛する理由
  • 愛国世論というモンスター

    中国の対立はひとまず落ち着いたように見える。日は先月末、逮捕していた中国漁船の船長を処分保留で釈放した。日中間では、双方が領有権を主張する東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)の周辺で起きた漁船衝突事件で日中国人船長を逮捕して以来、緊張が高まっていた。 船長釈放を受けて中国の国営メディアは、日が屈服したと大々的に報じた。しかし中国が勝者だとはとうてい言い切れない。 尖閣問題に関する反日デモを抑え込むために中国政府が細心の注意を払ったことで、中国政治システムの欠陥が浮き彫りになった。中国共産党指導部は、内政と外交の目的を達する上で国内の世論を味方に付けられずにいる。最近、中国指導部は世論を導くどころか、世論に押されて不意な立場を取らされ、政策の選択肢を狭められている。 1931年の満州事変の発端となった柳条湖事件の79周年に当たる9月18日、尖閣問題で日に抗議するために北京

  • 中国はなぜ横暴か

    ジョシュア・カーランジック(米外交評議会研究員)、長岡義博(誌記者)、アイザック・ストーン・フィッシュ(北京特派員) 中国人民解放軍きっての外国通、熊光楷(ション・コアンカイ)上将(大将)は最近いら立っている。ただし怒りの対象は中国の庭先である黄海に原子力空母を派遣すると表明したアメリカでも、沖縄の尖閣諸島沖で中国漁船の船長を逮捕した日でもない。最高指導者だったトウ小平の「遺言」が、世界から間違って解釈されていることに我慢がならないからだ。 中国政府は、これまでトウが90年代初頭に残した「才能を隠して外に出さない(韜光養晦)」という方針を忠実に守って外国と付き合ってきた。熊に言わせれば、最近この言葉は国外で「能力を隠して再起を待つ」とか「野心を隠して爪を研ぐ」と誤訳されている。「この言葉の真意は自分の力をひけらかさないということにある。それが中国人の伝統だ」と、熊は先月広州市で開かれた