東京都府中市浅間町の「米軍府中基地跡地」で、長らく未返還だった在日米軍の通信施設が昨秋、返還された。施設は跡地の中で未利用となっている一四・九ヘクタール内にあり、全面返還に伴い市が利用計画の見直しを検討し始めた。未利用地は京王線府中駅の北東一・六キロにあり、広さは東京ドーム三・二個分。「この広さで利用目的が決まっていない公用地は都内にあまりない」(市担当者)という土地の活用が前進する。(宮本隆康) 市などによると、米軍は終戦後、旧陸軍燃料廠(しょう)を接収して府中基地として利用していた。在日米軍司令部などの機能が横田基地(福生市など)に集約されると、一九七五(昭和五十)年に府中基地約六十ヘクタールのほとんどが返還された。跡地には都立府中の森公園や市美術館などが整備されたが、「将来の需要に備える」(国の審議会)として利用が留保されたのが一四・九ヘクタールの未利用地。米軍通信施設はその留保地に