メキシコのサン・ペドロ・タパナテペクの家の中庭で眠る移民たち。(PHOTOGRAPH BY MOISES SAMAN, MAGNUM PHOTOS/NATIONAL GEOGRAPHIC) 11月初旬の金曜の夜7時半頃、メキシコ南部のメタパという町のアレミ・バルボア・ビクトリオ町長に、1500人の移民キャラバンがメタパに向かっているという電話が入った。電話をかけてきた隣町の町長は、エルサルバドルからの移民たちが歩く様子を見て、メタパで一夜を過ごすつもりなのだろうと推測した。ビクトリオ氏は車に飛び乗り、町から30分の距離にある最寄りの市に行き、卵、砂糖、トイレットペーパー、大型容器入りの水を詰め込んだ。彼女はキラキラ光るマニキュアを施した手で、自腹で300ドルを支払った。 メタパはグアテマラとの国境付近の小さな町だ。それまでの3週間で、中米から米国をめざして北上する2つの大規模な移民キャラバ