現生人類(Homo sapiens)多地域進化説の成立過程について一度短くまとめてみようと思い立ったのですが、もう10年以上ほとんど勉強が進んでおらず、10年以上前の記事よりもましなことを書けそうにないので、当時述べ忘れたことを追加して述べておきます。現生人類の起源をめぐっては、多地域進化説とアフリカ単一起源説との間で1980年代~1990年代にかけて激論となりましたが、現在ではアフリカ単一起源説が通説となっています。ただ、アフリカ単一起源説でも完全置換説ではなく、ブロイアー(Günter Bräuer)氏などの提唱した、アフリカ起源の現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)などユーラシア各地の先住人類との間にある程度の交雑を認める見解(交配説)が有力とされています(関連記事)。 多地域進化説とアフリカ単一起源説との論争については、1987年に現代人のミト