【ハノイ=藤谷健、古谷浩一】中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議などの場で、懸案となっている南シナ海問題の解決に向けて対話の姿勢を強調したほか、経済協力の一層の強化を打ち出すことで、域内に高まる中国への懸念や不信感の払拭(ふっしょく)に力を入れていた。しかし日中首脳会談の一方的なキャンセルなど最近悪化する日中関係を、加盟国のある外相は「中国による銃口を突きつけた外交」と表現。「明日は我が身」となりかねないASEAN諸国に中国脅威論が再燃する可能性もある。 温首相は28日にハノイ入りすると、すぐに議長国ベトナムのズン首相に加え、ラオスのブアソン、カンボジアのフン・セン両首相と相次いで個別に会談し、経済協力を申し出た。また南シナ海問題では、領有権問題に関係のないラオス、カンボジア両首相に対してあくまで二国間で解決する中国の方針を強調、同意を取り