下の図表は、中国の限界資本係数の推移を描いたものである。限界資本係数は、実質経済成長率1%あたり必要となる追加的な資本ストックを表す。中国では資本ストック統計が公表されていないため、ここでは総固定資本形成の対名目GDP比を実質GDP成長率で割るあくまで近似的な方法で限界資本係数を求めた。この係数が大きくなるほど、投資効率は低下し、一定の経済成長率を維持するためには、より多くの投資が必要となることを意味する。 中国はリーマン・ショックをきっかけとする2009年の世界金融危機を4兆元の大型景気対策で乗り切ったが、それ以降、限界資本係数はほぼ右肩上がりになっている。投資効率は低下し続け、過剰投資がもたらす構造問題が、時間とともに悪化しているようである。 中国の悩みは、構造問題の解決に本気で取り組めば、投資抑制によって経済成長率が低下してしまうが、だからと言って経済成長率の低下を回避するため財政金
