“聞く耳を持たない”人々 ハーバード大学で政治哲学を教えるマイケル・サンデル教授がアメリカ国内の政治論議の質の低下を憂慮している。そのなかでもサンデルがとりわけ問題視しているのが、公共の場における政治論議で「人の話を聞くスキル」がなくなっていることだ。 サンデルは2018年10月、米ミズーリ州のラジオ局「セントルイス・パブリック・ラジオ」の番組に出演し、こう語っている。 「本来、民主主義という自治の営みは、自分とは意見の異なる人を説得したり、自分とは意見の異なる人から説得されたりすることを抜きにはありえません。これが『熟議』というものだからです。市民同士が議論をして何が共通善なのかを見きわめるわけです。ところがここ数十年のアメリカ政治を見ると、真の意味での『熟議』や『説得』が抜け落ちています」 サンデルの指摘によれば、ブレット・カバノーの米連邦最高裁判事指名承認に関する公聴会でも、議論の目
日本ではNHKのテレビ番組「ハーバード白熱教室」で有名になったマイケル・サンデル教授は、経済学批判に熱心なコミュタリアンとして知られている。単に批判的と言うわけではなくて、経済学者の目に付く所で堂々と批判している人で、経済学の学術雑誌にも寄稿している強者だ*1。著作を読む気力は沸かないのだが、それが短い論文だったので読んでみた。 主張はそう難しくない。経済学者が使う厚生基準に問題があるので、その再考が必要だと言うものだ。経済学者は財やサービスを何でも取引可能にしたがるが、それが人々の財やサービスに対する態度を変化させ、人々が道徳的では無くなる事がある。また、道徳的な態度をとることで不効用が増していく*2と考えているが、道徳は実践する事で板につくので不効用が増すとは限らない。経済学者は、この二つを見逃している。 この主張、共同体主義について知らないと、面食らうかも知れない。古くはアリストテレ
いのうえ・たつお 1954年、大阪市生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科教授(法哲学専攻)。「共生の作法−−会話としての正義」でサントリー学芸賞、「法という企て」で和辻哲郎文化賞を受賞。近著に「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください」(毎日新聞出版)=石戸諭撮影 日本を代表する法哲学者、井上達夫さんの連続インタビュー。最終回の3回目は井上さんが見るマイケル・サンデル(アメリカの政治哲学者)ブームについて。ベストセラーとなった「これからの『正義』の話をしよう」では、掘り下げられなかった「正義論」に踏み込む。専門的な領域だけでなく、なぜ「リベラリズム」にこだわるのか。人間的な背景も聞いた。(安保法案の議論を考えた第1回はこちら。リベラリズムを考えた第2回はこちら)【聞き手・石戸諭/デジタル報道センター】
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン わずか数カ月で総理大臣が変わってしまう日本の政治家の滑稽なほどの無能ぶりは、政治的な問題とも、倫理的な問題とも捉えることができそうだ。 政治的な問題は、極めて予測しやすい。不適任で、嫉妬も欲も深い政治家たちに、その地位にふさわしい振る舞いを期待することなどできない。倫理的な問題は、さらに受け入れがたいものである。彼らの果てなき権力争いは、国と国民に対する裏切りでもある。彼らの振る舞いは、単なる“好き放題やっている”だけにとどまらない。個人的な野望のために政府、ひいては数百万人の命を人質に取るような振る舞いは、倫理的な過ちである。 同様に、最近の世界的な金融危機も二通りの受け止め方ができる。一つには、1世紀に1度の金融界の嵐、ブラック・スワン、
Home / Social Sciences / Justice: What's The Right Thing To Do? (Harvard)
ビジネスの世界にいると、やるべきことを決める作業に追われる毎日ですが、このような答えのない議論の必要性や決められない事案の存在を再認識させられました。哲学の入口を見せてもらった気がします。 活字でも、サンデル教授の講義の進め方や学生へのリスペクトなどは十分伝わってきましたが、「白熱教室」と謳っているような空気感は読み取れませんでした。動画を見てから再読しようかなと思っています。
欧州を彷彿とさせるレンガ色の校舎と石畳の小道。「ハーバードの街」、マサチューセッツ州ケンブリッジには、自由と権威が共存する独特な雰囲気が漂う。 なかでも、ひときわ強烈なオーラを放っているのが、同大学のサンダーズシアターだ。のべ1万4000人が履修した、マイケル・サンデル教授の名講義「正義」の舞台である。サンデル教授は、難解で抽象的な思考を身近な問題に置き換えることで政治哲学への関心をかき立てる手法で広く知られている。 「能力は、多くが生まれ持った条件で決まる。とすれば、マイケル・ジョーダンの高額報酬は正当といえるのか――」 10年11月のある日。スーツに身を包んだ教授がシアターの壇上に軽やかに登場すると、学生の間から拍手がわき起こった。 「アリストテレスは、政治とは、より高邁な理想を追求し、市民にコモングッズ(共通善)を考える機会を与え、意義ある生活を提供することだと論じている。みんなはど
マイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」を読みました。 これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/05/22メディア: 単行本購入: 483人 クリック: 15,840回この商品を含むブログ (593件) を見る とてもおもしろかったです。 また、この本がこれだけバカ売れしているのがおもしろいですね。政治哲学の話ですよ。この本。しかも、345ページあってボリュームたっぷり。なんて売れなさそうなジャンル!(笑)NHKの力だとかなんだとかが大きいと思いますが、僕はまず、タイトルを原題からちょっと変えたのが良かったんだろうなーと思いました。 原題は、『Justice Whtat's the Right Things to Do?』です。訳すと、『正義
わたし的棚ぼた一万円選書 急に千葉さんに手渡された封筒、開けてみたら1万円札が1枚。何ごとかと思えば、同期の出張を代わったお礼をもらったらしい。 「葵はワンオペで育児してくれたから」と半分わけてくれました。 泡銭の1万円 これはもう、わたし的1万円選書をしろという思し召しなのでは……
About NHKの教養番組『ハーバード白熱教室』を視聴し、ノ ートを取り、議論を再検討し、復習課題に取り組んだウェブサイトです。 『ハーバード白熱教室』は、ハーバード大学マイケル・サンデル(Michael Sandel)教授による政治 哲学の講義『Justice』全24コマを、教授と学生のやり 取りを軸として1時間×12回に編集した番組です。 更新情報 2010-08-27 サンデル教授の来日講演(早川書房・他が主催)がありました。 2010-08-25 「ハーバード白熱教室 in Japan」が開催されました。 2010-08-21 再放送(3回目)が終りました。 2010-08-17 「再検討」「復習」の作成を完了しました。(今後も修正は続けます) 2010-08-14 再放送(2回目)が終りました。 2010-08-13 ガイドブック『セイギのつくり方。』(無料 /PDF/54ペー
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