米国発の金融危機から早くも1年を迎える。その危機において、”諸悪の根源”と呼ばれるような扱いを受けた金融工学。だが一般的には、いまだに金融工学の実態はあまり知られていない。今回、日本の金融工学のパイオニアである中央大学・理工学部経営システム工学科の今野浩教授に話を聞く機会を得た。同教授は、金融危機と自身の学問との関係をどう見ているのか? ――今回の金融危機では、「金融工学」が悪者扱いされた印象がありますが、そもそもこの学問自体、世間ではよく知られていません。 今野 定義はさまざまですが、「将来の不確実なお金の流れを測定して、それをコントロールする学問」というのが私の定義です。よりわかりやすくいえば、お金にかかわるリスク管理ということになりますね。80年代から、アメリカが牽引する形で金融市場の自由化が急速に進み、複雑な金融商品が売り出され、そこに高度な数理技術や計算機技術などを使うことが必要
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