かつては日本の家計貯蓄率が高いことが「国際的な常識」であったが、今ではそのことが引き合いに出されることさえもきわめて少なくなっている。昨年末に内閣府から2008年実績値が公表された際も、家計貯蓄率が遂に日米間で逆転したという事実は話題にも上らなかったほどである。 しかし、OECD加盟32カ国のうち16カ国では、すでに2009年の家計貯蓄率が公表されており、これらを含む28カ国の最新実績値で比較すると、日本の2.3%という水準は、なんと下から5番目に位置している。 日本の家計貯蓄率はもはや高くないとか、国際的には中位グループの水準だとかいう認識は、2、3年前までであったら、「新しい常識」として通用したかもしれない。しかし、変化の激しい現実の前では、すでに色褪せている。現時点では、日本の家計貯蓄率は国際的に見て低いと認識すべきなのである。 各国の家計貯蓄率を詳細に見ると、10%を上回っているの