運動、外国語、料理など、どの分野においても、人並みレベルになるまでに時間がかかるという人がいます。たしかに達成が困難なことはあります。そのため、着手してもすぐにできなかったり学べなかったりすると、自分にはできないと思ったり、そもそもやる前から断念したりする自分に嫌気がさしたりすることがあります。 アドラーは詩人ウェルギリウスの「できると思うがゆえにできる」という言葉を引用しています(『子どもの教育』)。「できると思ったらできるのであれば苦労はない」といいたくなるかもしれません。アドラーは「誰でも何でも成し遂げることができる」ともいっています(『個人心理学講義』)。 このような主張をしたアドラーは批判されましたが、彼の主張の核心は、初めからできないと思ってしまうと、それが生涯にわたる固定観念になり、そのような思い込みをなくせば達成は可能であるということでした。「何でも」は言いすぎかもしれませ
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