「長野原町の財政構造は八ッ場(やんば)ダムの建設が前提になっている。今さら建設中止と言われても困るんですよ」。町財政を担当する幹部職員は、町役場のテーブルの上に広げた過去の歳入歳出の予算書類を指で示しながら、ため息をついた。 町総務課の資料によると、下流都県が水没地域などの生活再建を助けるため負担する「水源地域対策特別措置法」(水特法)に基づく整備事業費の一部が町に入ったのは、一九九五年度から。同年度は六千七百万円だったが、その後も毎年度、事業費が計上され、多い年は二十億円を超え、二〇〇七年度までの合計額は百四十七億五千万円になっている。