ちょうど1年ほど前の2009年6月30日、ドイツのヴッパタール歌劇場バレエ団の芸術監督であるピナ・バウシュが急逝した。 6月8日から13日にかけて、新宿文化センター大ホールで行われたヴッパタール舞踊団の公演「私と踊って」は、彼女の追悼公演である。 その公演を6月9日の水曜日に観に行った。 僕がピナ・バウシュの作品を観たのは、今回が2回目である。 1993年に同じく新宿文化センターで「山の上で叫び声が聞こえた」が観て以来なので、実に17年ぶりだ。当然、僕もまだ20代前半である。彼女が創出した“タンツテアター”の独特の世界を観じながらも、暑い夏の日だったこともあってか、途中何度か寝てしまったことを覚えている。 それ以来のピナ・バウシュの作品観覧である。 結果から言うと、今回は眠るどころか、終始舞台で演じられる密度の濃い世界に圧倒され続け、終わり間近には自然と涙が出た。 すれ違う男女さて、今回観