先日ディスカッサントとして招かれた社会学史学会で、コミュニタリアニズムについて話をする機会があった。おさらいがてら読んでみたのが、菊池『日本を甦らせる政治思想:現代コミュニタリアニズム入門 』だったのだが...。私も、著者自身が「日本ではコミュニタリアニズムは誤解されている」と述べるとおりであると思うのだが、そうであればなお、批判者を説得できる書き方をした方がよかったのでは、と思う。私自身はどちらかといえばリベラリズムに共感しているが、残念なことにこの本によってはあまり説得されなかった。自分が主張したい議論について書くのなら、その議論に真っ向から反対する論者を説得するつもりで行うのが理想である。たとえば市場原理を批判したいのなら、相手はミクロ経済学者である。 日本を甦らせる政治思想~現代コミュニタリアニズム入門 (講談社現代新書) 作者: 菊池理夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 200