流通する「人体」―献体・献血・臓器提供の歴史 作者: 香西豊子出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2007/07/17メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 62回この商品を含むブログ (21件) を見る 訳あって、この本を読んだ。著者は、1973年生まれだから若い世代の研究者である。この本では、献体や、献血や、臓器提供や、人体標本展などを例にとって、人体(の一部)のドネーションという社会行為が、明治期以降、日本でどのように変遷してきたのか、そしてそれをめぐる言説配置がどのようにシフトしてきたのかを、文献を丹念に読んで調べたものだ。その労力には拍手を送りたいし、著者の今後の研究活動にも期待したい。 そのうえで、言いたいことがあるのだが、著者は、この歴史を「本人の意志」というキーワードを使って再編成してみせている。だが私から見ればそれは中途半端だ。なぜなら、「本人の意志(意思)」をめぐ