中心市街地の空洞化が進む函館市。その函館市で8月31日、また1軒の商業施設が閉店した。半世紀あまりにわたり、市民などから親しまれてきた「テーオーデパート」だ。閉店が近づく中、感謝の気持ちで接客にあたる店員や特別な思いで店を訪れる人たちの姿があった。(函館局・白野宏太朗) “長く履いて思い出に” 閉店まで残り1週間となった8月24日。テーオーデパートで次々に客が訪れている靴販売店があった。1度に4足もの靴を購入している女性など、その多くが常連客だった。「ちっちゃい頃から通わせてもらった。最後になるならここでぜひ1足買おうと。長く履いて、テーオーデパートの思い出になればいいなと思う」。1人の女性はそう話した。 この店で20年以上も店頭に立ち続けてきたのが、山坂英俊さん(72)だ。 女性客をターゲットに、この店にしかない商品を数多く取りそろえているのが自慢で、常連客も多い。長年にわたり仕事場とな